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2004年天皇賞(秋)を制した時のゼンノロブロイ
2004年天皇賞(秋)を制した時のゼンノロブロイ

③ゼンノロブロイ(2004年)

 シンボリクリスエスが連覇を達成した翌年となる、2004年の天皇賞(秋)。この年の主役もまた、藤沢厩舎所属のゼンノロブロイであった。

 ゼンノロブロイは、青葉賞で重賞初制覇→ダービー2着→秋始動戦の神戸新聞杯を勝利という、厩舎の先輩シンボリクリスエスと同じルートを辿ったが、3歳時は天皇賞(秋)ではなく菊花賞に出走して4着に敗れた。

 その後もG1とG2で上位争いを繰り広げるものの、その菊花賞以降は好走するものの未勝利。気付けば神戸新聞杯以来、1年以上勝利から遠ざかった状況で、天皇賞(秋)の発走を迎えた。

 レースは、前年同様にローエングリンが引っ張る形となる。2番手にシェルゲームがつけ、1番人気のゼンノロブロイは中団後方寄りから進めていた。

 前年、前半1000m通過56秒9という激流を作り出したローエングリンだったが、この年はなんと前半1000m通過60秒1という緩めの流れに持ち込む。策士横山典弘騎手によってコントロールされたレースは、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、各馬横に広がった追い比べ。逃げるローエングリンの手ごたえは楽なままだったが、それを追走していたシェルゲームの内から脚を伸ばしたダンスインザムードが、残り200mでローエングリンを交わして先頭へと代わる。

 しかしそこに離れた外から襲いかかったのが、ゼンノロブロイ。この2頭による一騎打ちとなった争いは、残り100mを切ったあたりでねじ伏せるように先頭へと立ったゼンノロブロイが勝利。2着にダンスインザムードが入り、なんと藤沢厩舎のワンツー。1馬身半差の3着にはアドマイヤグルーヴが脚を伸ばし、2頭出走の牝馬が2,3着となった。

 勝ったゼンノロブロイは、悲願のG1初制覇。そして管理する藤沢師は、前人未到の天皇賞(秋)3連覇という偉業を、これまた新たな偉業のワンツー決着で達成してみせた。

 ゼンノロブロイはその後、続くジャパンカップと有馬記念も制覇。それまで勝ち切れなかったことが嘘のように、シンボリクリスエスも成し遂げられなかった秋古馬3冠を達成した。

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