②シンボリクリスエス(2002年)
バブルガムフェローが戦後初の4歳(現3歳)馬による天皇賞(秋)制覇を達成して以降、勝利はおろか馬券圏内に入る4歳(現3歳)馬も現れないまま迎えた、2002年。すでに馬齢表記も変更となっていたこの年に、天皇賞(秋)へと駒を進めてきた3歳馬が、シンボリクリスエスであった。
非常に割れたオッズの中、1番人気は4歳牝馬のテイエムオーシャン。前年の2冠牝馬であり、久々となった札幌記念では、なんとプラス38キロの馬体で牡馬相手に勝利。天皇賞(秋)は、マイナス20キロでの出走であった。
2番人気は6歳馬のナリタトップロード。こちらはテイエムオペラオーと同世代となる歴戦の古馬で、G1タイトルは菊花賞のみであったが、常にG1で上位争いを繰り広げていた。
そして3番人気が、3歳馬のシンボリクリスエス。皐月賞には間に合わなかったが、青葉賞を制して挑んだダービーで、タニノギムレットの2着。秋初戦の菊花賞トライアル神戸新聞杯も勝利したが、菊花賞ではなく天皇賞(秋)に出走していた。
東京競馬場が改修工事中のため中山競馬場で行われた一戦は、この3頭を筆頭に、6番人気までが単勝10倍を切る混戦模様で発走を迎えた。
レースは、ゴーステディがハナを切り、アラタマインディが2番手を追走。テイエムオーシャンは好位につけ、それを見るような形でシンボリクリスエス。ナリタトップロードは中団後方寄りから進めていた。前半1000mの通過は59秒3と、ほぼ平均ペースで推移。縦長だった馬群が一気に凝縮して4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、すぐにテイエムオーシャンが先頭へと立つも、その後ろから各馬が殺到。その中で一際末脚が目立ったのが、馬群の中から脚を伸ばしたシンボリクリスエス。残り150mあたりで先頭へと代わると、外から迫るサンライズペガサスとナリタトップロードを振り切って勝利。2着にナリタトップロードが入り、クビ差の3着がサンライズペガサス。1番人気のテイエムオーシャンは馬群に沈み、13着に敗れた。
勝ったシンボリクリスエスは、これがG1初制覇。バブルガムフェロー以来6年ぶりとなる、3歳馬による天皇賞(秋)制覇も達成した。さらには、ローエングリンが前半1000m通過56秒9というハイペースを演出した翌年も制し、史上初となる天皇賞(秋)連覇を成し遂げた。
天皇賞(秋)連覇は、これまでシンボリクリスエス、アーモンドアイ、イクイノックスしか達成していない大偉業である。