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2022年天皇賞(秋)を制した時のイクイノックス
2022年天皇賞(秋)を制した時のイクイノックス

⑤2022年 天皇賞(秋)

【出走した3歳馬】
イクイノックス:1着
ダノンベルーガ:3着
ジオグリフ:9着

 2022年の日本ダービーでひと桁オッズとなっていたのは4頭。そのなかで凱旋門賞に遠征したドウデュース以外のイクイノックス、ダノンベルーガ、ジオグリフが秋の初戦に選んできたのがこの天皇賞(秋)だった。

 彼らは春のクラシックでも上位争いを繰り広げていたこともあり、古馬相手でも実績を評価されて全員が上位5番人気以内の支持を受けた。

 3頭で1番の評価を受けたのはイクイノックス。2014年のイスラボニータ以来、8年ぶりに3歳馬が1番人気に支持された。

 とはいえ、対する古馬勢も前年の日本ダービー馬シャフリヤールを筆頭に、ドバイターフを勝ったパンサラッサや札幌記念を制して勢いに乗るジャックドールと豪華メンバー。そしてこのレースは、競馬史に名を残す大激闘となった。

 ゲートが開くとパンサラッサがわき目もふらずハナへ。外から競り合ってきたノースブリッジに前を譲らずその差を広げると、1000m通過の時計は57秒4を記録した。

 1998年にサイレンススズカが記録したものと全く同じ通過タイムで大欅を軽快に回った。一方、3歳馬3頭はいずれも中団でレースを進め、勝負所の爆発に賭ける。

 そして直線、2番手以降に15馬身近いリードを保って逃げ込みを図るパンサラッサへ、後続勢が追い上げを開始する。だがその差はなかなか詰まらず、200mの地点でもその差は5馬身以上。

 このまま決まると思われたその瞬間、大外からイクイノックスが急襲。上り3F・32秒7の一閃で逃げ粘るパンサラッサを最後の最後で捕らえ、G1初制覇を飾った。

 3着まで追い込んだダノンベルーガ、9着となったジオグリフも良く走ったが、それ以上に驚かされたのがイクイノックスの末脚であった。

 騎乗していたクリストフ・ルメール騎手でさえ「直線に向いて彼(パンサラッサ)を見たら、15馬身くらいあって心配しました」と言わしめるほどの差をひっくり返すほどの強烈な脚は、今後の活躍を強く予感させるものであった。

 そしてその期待通り、それ以降のイクイノックスは引退するまで1つも負けず、ロンジンワールドベストレースホースランキングにおいて世界1位の座に輝いた。

 近代日本競馬において史上最高の評価を受けた馬、イクイノックス。そのG1初制覇の瞬間は、多くのファンの記憶に鮮烈な衝撃として刻まれた。

【了】

(文●小早川涼風)

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