【天皇賞春秋制覇を成し遂げた馬 5選】どんな舞台でも勝ち切る…条件を問わない真の“絶対王者”たち
天皇賞の春・秋連覇——。近年の日本競馬においてはローテーションの多様化や馬の適性重視が進み、ますます達成が難しくなっている。だからこそ、過去にその快挙を成し遂げた馬たちの凄みは一層際立つ。この記事では、同一年に天皇賞春と秋を制した5頭の名馬たちにスポットを当て、その偉業を順に紹介していく。
①タマモクロス(1988年)
最初に取り上げるのは、史上初となる天皇賞春秋制覇を達成した、タマモクロス。元々天皇賞は、1980年まで勝ち抜き制というものが存在しており、一度勝った馬が再び天皇賞に出走することは叶わなかった。
その制度上、春秋制覇を達成する馬が1980年以前に現れることはなく、タマモクロスが初めてとなった。
前年の条件戦から連勝が続いていたタマモクロスは、1988年の天皇賞(春)でG1初挑戦。G1初出走ながら1番人気に支持されたタマモクロスは、中団追走から徐々に進出。直線では進路を内に求めて前を捕らえ、最後は後続に3馬身の差をつけて、6連勝でG1初制覇を収めた。
続く宝塚記念も制し、7連勝で迎えた天皇賞(秋)。天皇賞春秋制覇を目指すタマモクロスの前に現れたのは、ひとつ年下で同じ芦毛のオグリキャップ。中央に移籍してからは無傷の6連勝中だったオグリキャップは、笠松所属時を含めると14連勝中であった。
ともに連勝中である芦毛対決に注目が集まった一戦は、2番手追走から抜け出したタマモクロスが、オグリキャップの猛追を凌いで勝利。
天皇賞春秋制覇で連勝を8に伸ばし、G1・3連勝を飾った。先述したとおり、天皇賞春秋制覇も史上初であったが、G1競走のみを3連勝するのも史上初の快挙であった。
そして、オグリキャップとの芦毛頂上決戦は、続くジャパンカップと有馬記念でも行われ、タマモクロスが2勝1敗で勝ち越し。前年に条件戦でくすぶっていたのが嘘のように、一気にトップホースへと駆け上がっていった。