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【東大流・次世代スター発掘】ブロンテスに★5評価「ヤマボウシ賞と同タイムでラスト12.3-12.2」そして際立つマグナヴィクトルの強さ

text by 鈴木ユウヤ

2025年9月27日未勝利戦を制したブロンテス
2025年9月27日未勝利戦を制したブロンテス

東大流・次世代スター発掘

東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、来年のクラシックを見据えて2歳の有望株を発掘していく連載。今回は9月27、28日に出走した2歳馬のうち、内容がよかった馬、話題になった馬をピックアップ。歴代のタイムやラップとも比較しながら評価する。

【評価の目安】
★7:GⅠ確定レベル
★6:GⅠレベル
★5:重賞レベル
★4:OPレベル
★3:水準レベル
★2:やや物足りない
★1:物足りない

9月27日の2歳戦レビュー

◆ブロンテス

9月27日 未勝利 阪神ダ1400m 1着
評価:★★★★★
騎手:国分恭介
厩舎:栗東・大根田裕
父:ミスチヴィアスアレックス
母:バーニングハート
母の父:ストラヴィンスキー

《短評》
 デビュー戦はマグナヴィクトルに圧倒され、大差離れた2着だった。2戦目の今回は好スタートから好位で流れに乗り、外の3番手を手応えよく追走。直線は鋭く加速し、上がり最速で5馬身差快勝となった。

 勝ち時計1:25.5は、同日同コースの1勝クラス・ヤマボウシ賞と同タイム。良馬場とはいえ乾く途上だったので厳密に言うと馬場差はあるが、おおむね同格の内容と言っていい。しかもラスト2Fが12.3-12.2の加速ラップだった。

 阪神ダ1400m良馬場の2歳戦でラスト1F12.2秒以下は史上3例目。ほか2例がそれぞれ1:26.9、1:27.1の決着だったことを思えば、この全体時計でこの上がりは素晴らしい。「重賞級」の★5と評価する。

 そして間接的に、この馬をデビュー戦で1.8秒置き去りにしたマグナヴィクトルの株もさらに上昇する。いったいどれほど強いのか……。今後の動向が楽しみだ。

◆シーズザスローン

9月27日 未勝利 阪神ダ1800m 1着
評価:★★★
騎手:武豊
厩舎:栗東・松永幹夫
父:キズナ
母:ミコレジーナ
母の父:Frankel

《短評》
 初ダートの一戦。隣が好発を切ったので映像上は出遅れ気味に見えるが、実際は五分程度には出ていた。そこから二の脚でスピードに乗って2番手に。

 手応え優勢のまま直線へ向き、軽く気合いをつけたくらいで楽々抜け出した。最後まで余力ありげに後続を7馬身ちぎる完勝だった。

 全体時計1:54.6は特記するほどの数字ではないが、このコースの良馬場2歳戦としてはまずまず速い部類。めいっぱい追われることなく出した時計としては上々だ。2代母アムールブリエ、3代母ヘヴンリーロマンスの良血馬がダート替わりで本領を発揮した。

◆コパノトーマス

9月27日 未勝利 中山ダ1200m 1着
評価:★★★
騎手:原優介
厩舎:美浦・青木孝文
父:タニノフランケル
母:ラブミーブルー
母の父:サウスヴィグラス

《短評》
 一歩目はさほど速くなかったが、そこから持ち前のスピードでハナへ。道中は行きたがるのを抑えながらの逃げになった。直線は内ラチに寄ろうとするのを鞍上が右ムチで修正しながら追い、そのまま2馬身差で押し切った。

 勝ち時計1:11.8は本年の9月中山開催で施行された2歳戦8レースのなかでは最速となった。気性面から距離は1200mで上限いっぱいという印象を受けるが、この距離であれば1勝クラスでも上位争いに絡んでくるはずだ。

◆ギリーズボール

9月27日 新馬 中山芝1600m 1着
評価:★★★★
騎手:ルメール
厩舎:美浦・手塚貴久
父:エピファネイア
母:フロアクラフト
母の父:フジキセキ

《短評》
 スタートはあまり速くなかったが、そこから挽回して中団へ。最初のコーナーでは前が狭くなる場面があった。3~4角は内から数えて4~5車線目を回り続け、内有利のトラックバイアスに反する進路取りではあったが、直線は鞍上の合図に応えて鋭く加速。先に抜け出したリラを差し切った。

 勝ち時計1:35.8は同日2歳未勝利で1:33.9が出ていた高速馬場を考慮すれば平凡そのもの。ただ、ラスト1F10.8秒の瞬発力は素晴らしい。道中不利やトラックバイアス逆行を克服した点も含め、昇級しても期待が持てる好内容だ。

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