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1994年菊花賞を勝った時のナリタブライアン
1994年菊花賞を勝った時のナリタブライアン

②1993年(勝ち馬ナリタブライアン)

 菊花賞といえば、やはり牡馬クラシック三冠の最終戦である。2025年現在で三冠を達成した馬は8頭いるが、その中で菊花賞を一番強い勝ち方で制したと思えるのが、1993年のナリタブライアンであった。

 ナリタブライアンは、なんと芝1200mでデビュー。年末の朝日杯3歳S(現朝日杯FS)でG1初制覇を果たすまであたりは、勝ったり負けたりを続けていたが、4歳(現3歳)になってからは連戦連勝。

 牡馬クラシック三冠でも圧倒的な強さを見せ、皐月賞を3馬身半差、ダービーを5馬身差で制していた。

 菊花賞の前哨戦である京都新聞杯では、単勝1.0倍の支持に応えられずに、上がり馬のスターマンに敗れて連勝は6でストップしたが、菊花賞本番でも単勝1.7倍の断然人気。史上5頭目となる三冠馬誕生に期待がかかっていた。

 レースは、スティールキャストがハナを切り、2番手のウインドフィールズ以下に対して、徐々にリードを広げていく。注目のナリタブライアンは、中団あたりを追走していた。

 前半の1000m通過は61秒2で、雨が降る稍重の馬場を考えると、平均〜やや速めといった流れ。スティールキャストは一時20馬身ほどのリードを作り、ナリタブライアンは先頭から30馬身以上の差がついていた。

 ナリタブライアンはそこから外を回ってジワジワとポジションを上げていき、少しずつそのリードも縮まってきたが、以前先頭とは10馬身ほどの差のまま直線へと向かう。

 直線に入ると、スティールキャストはいっぱいとなり、2番手からウインドフィールズ、その後ろからヤシマソブリンが抜け出しを図る。

 しかしそれも束の間、残り250mあたりでそれらを一気に交わしたナリタブライアンが先頭。そこからは後続をグングンと突き離して独走状態となり、最後は7馬身の差をつける圧勝であった。

 離れた2着にはヤシマソブリンが入り、追い込んできたエアダブリンが3着となった。

 勝ったナリタブライアンは、史上5頭目となる牡馬クラシック三冠を達成。続く有馬記念でも古馬相手に圧巻の強さを見せたが、古馬となってからは怪我の影響でG1タイトル獲得はならなかった。

 それでも菊花賞でのパフォーマンスは、歴代の三冠馬と比較しても圧倒的なもの。まさに「シャドーロールの怪物」の名にふさわしい強さであった。

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