HOME » コラム » 5選 » 【マリーンC名勝負5選】メイショウバトラーやペルアアなどダートを主戦場とする牝馬が活躍 » ページ 5

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天竜川特別を制したときのペルアア

⑤2023年(勝ち馬ペルアア)

 メイショウバトラーが連覇を達成してから14年が経った、2023年のマリーンカップ。この年の注目馬は、米国産で4歳馬のペルアア。

 重賞初挑戦ではあるが、ダートに限れば6戦4勝2着2回とほぼパーフェクトな戦績。前走の3勝クラス、茨木Sでも牡馬相手に快勝していた。先行力があって地方のコース適性にも大きな不安はなく、単勝1.5倍という断然の1番人気に支持されて、発走を迎えた。

 レースは、チェイスザドリームがハナを切り、ペルアアはスッと2番手を確保。その直後にリネンファッションがつけ、3頭が後続を引き離す展開となる。縦長の馬群が示すとおり、やはりペースはやや速く、逃げるチェイスザドリームは4角手前で早めに手が動き出す。それに手ごたえよくペルアアが並びかけ、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、チェイスザドリームをあっさり交わしたペルアアが独走態勢を築く。チェイスザドリームとリネンファッションは苦しくなり、中団から伸びてきたレディバグが残り200mを切ったあたりで2番手へと浮上。しかし遥か前方にいるペルアアとの差は詰まらない。そのまま5馬身の差をつけたペルアアが圧勝。2着がレディバグとなり、そこから4馬身離れた3着には、後方から追い上げたナンヨーアイボリーが入った。

 勝ったペルアアは、重賞初挑戦で重賞初制覇。ダートでの連対率100%も継続となった。まさに牝馬のダート戦線に新星誕生と思われたが、その後はなかなか状態が整わずにレースの回避が続く。そしてそのまま、同年の秋に登録抹消。結果的に、マリーンカップが現役生活最後のレースになった。

 ポテンシャルの高さは誰もが認めるところであったが、やはり競走馬として活躍するには体質面の向上も必要不可欠。現役引退後は繁殖牝馬として新たなスタートを切ったため、自身の無念を払拭する産駒が誕生することに期待したい。

 今回取り上げた馬たち以外にも、数々の名牝が勝利を挙げてきたマリーンカップ。

 2024年からは大きな変更があり、出走資格は3歳牝馬のみ、施行時期が9月へと変わり、施行距離も船橋ダート1800mへと生まれ変わる。

 全く別のレースへと変貌を遂げたマリーンカップ。今後はこのレースからどんな活躍馬が輩出されるのか、楽しみにしながら見ていきたい。

(文●中西友馬)

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