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【名勝負プレイバック~2024セントウルS~】重賞連勝の3歳牝馬が1番人気。だが、激戦を制したのは…

text by 中西友馬

名勝負プレイバック――競馬では数々の名勝負が繰り広げられてきた。そして、今年も同じ舞台が訪れる前に、その歴史を振り返ることは競馬の醍醐味のひとつである。今回取り上げるのは2024年のセントウルステークス。この年の1番人気は重賞連勝と勢いに乗るピューロマジックだった。

2024年産経賞セントウルSを制したトウシンマカオ
2024年産経賞セントウルSを制したトウシンマカオ

大激戦を制し、重賞4勝目

 2年ぶりに中京競馬場で行われた、2024年のセントウルステークス。

 5頭が単勝10倍を切るという割れたオッズの中で、1番人気(単勝3.9倍)は唯一の3歳馬ピューロマジック。重賞を連勝している勢いに加えて、前走の北九州記念と同じ53キロの斤量も魅力的であった。

 続く2番人気(単勝6.4倍)は重賞3勝馬のトウシンマカオ。悲願のG1制覇に向けて勢いをつけたいレースであった。そして3番人気(単勝7.8倍)はヨシノイースター。安定した先行力を誇り、前走の北九州記念ではピューロマジックを半馬身差まで追い詰めていた。

 以下、前年のスプリンターズS覇者ママコチャが4番人気(単勝8.0倍)、初の千二となる2年前のNHKマイルカップ覇者ダノンスコーピオンが、5番人気(単勝9.0倍)という人気順で、発走を迎えた。

 レースは、外めの枠からでもピューロマジックがハナを切り、アサカラキングが2番手。ママコチャはその後ろの外めにつけ、ヨシノイースターも好位からの競馬。トウシンマカオは中団後方寄りから進めていた。

 前半の600m通過は33秒6。前走の北九州記念では稍重の馬場ながら前半32秒台のペースで逃げ切ったピューロマジックにとっては、特段速いペースではなかった。

 短距離戦らしく隊列に大きな変化はないまま直線へと向かい、ピューロマジックが先頭も、外からアサカラキングとママコチャ、内からモズメイメイが並びかけてきて横に広がった大激戦。

 残り100mで外からママコチャが先頭に立つ。このまま押し切るかに思われたが、そこに襲いかかったのが大外を伸びたトウシンマカオ。ゴール前できっちりママコチャを交わして、勝利を収めた。

 半馬身差の2着にママコチャが入り、内を伸びたモズメイメイが3着。好位追走も伸びを欠いたヨシノイースターは8着、残り100mから失速したピューロマジックは13着に敗れた。

 勝ったトウシンマカオは重賞4勝目を挙げ、次走のスプリンターズSでも2着。6歳を迎えた今年も京王杯SCを勝利するなど衰えは全く見られず、むしろ充実期を迎えている印象。連覇を目指す今年も、当然有力馬の1頭となる。

 トウシンマカオをはじめとした昨年の1〜3着馬や、昨年3番人気のヨシノイースターなどが出走を予定している、今年のセントウルステークス。例年と同じく、スプリンターズSに向けて重要な一戦となることが予想される。

【了】

(文●中西友馬)

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