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2017年中山大障害(写真左オジュウチョウサン、右アップトゥデイト)
2017年中山大障害(写真左オジュウチョウサン、右アップトゥデイト)

⑤オジュウチョウサンvsアップトゥデイト

対戦成績

月日 レース オジュウチョウサン アップトゥデイト
2015 12月26日 中山大障害(J.G1) 6着 1着
2016 12月23日 中山大障害(J.G1) 1着 2着
2017 3月11日 阪神スプリングジャンプ(J.G2) 1着 2着
2017 4月15日 中山グランドジャンプ(J.G1) 1着 3着
2017 12月23日 中山大障害(J.G1) 1着 2着
2018 4月14日 中山グランドジャンプ(J.G1) 1着 2着

 障害レースのさまざまな記録を塗り替えた、オジュウチョウサン。オジュウチョウサンの出現により、これまでスポットライトの当たることが少なかった障害レースへの注目度は、がぜん増したように思える。

 そんなオジュウチョウサンは、2016年の中山グランドジャンプから2020年の中山グランドジャンプまで、障害戦では13連勝。4年間もの間、障害戦では負けなしを誇っていた。そんな絶対王者を前にして、常に悔しい思いをしてきたのがアップトゥデイトであった。

 オジュウチョウサンが才能を開花させる前年となる2015年、アップトゥデイトは中山グランドジャンプと中山大障害という両J・G1を制覇。障害界のニュースター誕生を予感させていた。

 ちなみにオジュウチョウサンとの初対決は、その2015年中山大障害。アップトゥデイトがJ・G1連勝を飾る中、オジュウチョウサンは6着。両者の間には、4秒3もの大きな差があった。

 しかし、アップトゥデイトが骨瘤によって回避した2016年の中山グランドジャンプで、覚醒を果たしたオジュウチョウサンが快勝。さらには、2度目の対決となった中山大障害では、9馬身もの差をつけられて敗北。障害界のスターホースの座は、完全にオジュウチョウサンのものへと変わっていった。

 その翌年となる2017年は、オジュウチョウサンの独壇場。アップトゥデイトは、阪神スプリングジャンプ、中山グランドジャンプと連敗を喫する。

 そして迎えた、暮れの中山大障害。3連敗中だったオジュウチョウサンを倒すため、アップトゥデイトは大逃げの奇襲に打って出る。一時は2番手のオジュウチョウサンを5秒以上引き離すハイラップの逃げに、会場はざわめき始める。

 その後、さすがにリードは詰まってきたが、最終障害の飛越でもアップトゥデイトのリードは5馬身。しかし、そこからジリジリとオジュウチョウサンが差を詰め、残り50mでついにアップトゥデイトを捕らえて、半馬身差の勝利を収めた。

 王者を最後まで苦しめたアップトゥデイトだったが、最後の最後で力尽きての2着。それでも、後続を3秒以上引き離したレコード決着での2頭の一騎打ちに、観客からは大きな拍手が送られた。

 その後、翌年の中山グランドジャンプでは、オジュウチョウサンがアップトゥデイトに2秒4もの大差をつけて再びレコード勝ち。この勝利を置き土産に平地挑戦を始めたため、両馬の直接対決はこれが最後となった。

 全盛期の絶対王者オジュウチョウサンを最も苦しめた、前王者アップトゥデイトもまた、稀代の障害馬であった。

 このように、ライバル関係とひとくくりにしても、さまざまなパターンがあることが分かる。近年は使い分けもあって、何度も同じメンバーと対決することは少なくなってきた印象もあるが、今後もこのような切磋琢磨できるライバル関係の出現に期待したい。

【了】

(文●中西友馬)

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