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2012年秋華賞(写真左ヴィルシーナ、右ジェンティルドンナ)
2012年秋華賞(写真左ヴィルシーナ、右ジェンティルドンナ)

④ジェンティルドンナvsヴィルシーナ

対戦成績

月日 レース ジェンティルドンナ ヴィルシーナ
2012 4月8日 桜花賞(G1) 1着 2着
2012 5月20日 優駿牝馬(オークス)(G1) 1着 2着
2012 9月16日 ローズS(G2) 1着 2着
2012 10月14日 秋華賞(G1) 1着 2着
2013 11月24日 ジャパンC(G1) 1着 7着
2014 6月29日 宝塚記念(G1) 9着 3着
2014 12月28日 有馬記念(G1) 1着 14着

 史上4頭目となる牝馬を達成した、ジェンティルドンナ。しかしその裏で、史上初の出来事が起こっていたのをご存知だろうか。ヴィルシーナが、史上初となる牝馬三冠全てで2着という記録を達成していた。このふたつの記録を組み合わせると、牝馬三冠は全てジェンティルドンナとヴィルシーナのワンツーであったということである。

 もちろんそういう単純な話ではないだろうが、もしジェンティルドンナと同じ世代でなければ、ヴィルシーナは三冠牝馬となっていたかもしれないということになる。

 桜花賞、オークス、秋華賞だけでなく、秋華賞トライアルのローズSでもワンツーを達成した両馬。その中でも、ヴィルシーナが最もジェンティルドンナに肉薄したのが秋華賞であった。

 ヴィルシーナは奇襲とも言える逃げの手に出て、先行馬有利のスローペースを作り出す。道中でチェリーメドゥーサのまくりを浴びるも、冷静に離れた2番手から脚を伸ばし、ゴール前ではジェンティルドンナの追撃を凌いだかにも見えた。2頭はほぼ並んでゴール板を通過し、勝敗の行方は写真判定へと持ち込まれる。

 写真判定の結果、ジェンティルドンナが7センチ差で勝利し、史上7頭目となる牝馬三冠を達成。それと同時に、ヴィルシーナの牝馬三冠全てで2着という、史上初の出来事も達成されたのである。

 秋華賞後も3度の対決が実現したが、ヴィルシーナが先着したのはジェンティルドンナが9着と大敗した2014年の宝塚記念のみ。両馬ともに引退レースとなった有馬記念でも、ジェンティルドンナ1着、ヴィルシーナ14着と大きな差がついてしまった。

 もちろんジェンティルドンナは、G1・7勝、牝馬三冠、史上初となるジャパンカップ連覇など、輝かしい実績を達成した歴史に残る名牝である。しかしその活躍は、牝馬クラシックでライバルであったヴィルシーナの存在があってこそ。ジェンティルドンナの前に、常に苦汁を飲まされてきたヴィルシーナも、古馬となってからはヴィクトリアマイルで史上初となる連覇を達成した。

 そして、このレベルの高いライバル関係は、両馬が引退して繁殖牝馬となってからも続いた。ジェンティルドンナの3番仔となるジェラルディーナはエリザベス女王杯を制してG1馬となり、ヴィルシーナの初仔であるブラヴァスは新潟記念を制覇し、3番仔であるディヴィーナは府中牝馬Sを制している。

 ともに競走成績だけでなく繁殖成績も優秀であり、非常にレベルの高いライバル関係であった。

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