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2024年天皇賞(秋)を制した時のドウデュース
2024年天皇賞(秋)を制した時のドウデュース

⑤ドウデュース

 2歳から5歳の現役期間、全ての年でG1タイトルを獲得したドウデュース。ここまで列挙してきた名馬に比べると、“復活”という言葉が似つかわしいかどうかは微妙なところもあるかもしれない。

 だが同馬は、いつも我々が諦めかけた時に華々しく勝利を飾ってくれる馬であった。

 最初は3歳の日本ダービー。2歳王者として他馬の挑戦を受ける立場で挑んだ弥生賞と皐月賞は連敗し、ダービーの人気は3番人気まで後退した。

 だがドウデュースは直線で外に持ち出されると、ライバルであるイクイノックスの進路を締めながら一気に伸びて快勝。2分21秒1というダービーレコードのおまけつきで世代の頂点に立ったドウデュースの姿に、感動を覚えた人も少なくないはずだ。

 2度目は4歳の有馬記念。初戦の京都記念こそ圧勝したものの、遠征したドバイターフは取消の憂き目に遭う。休養を経て臨んだ天皇賞(秋)、ジャパンカップは、ダービーで下したイクイノックスに全く歯が立たず完敗。

 精彩を欠いて見えたその走りに、「もう全盛期のドウデュースではない」と評価を下したファンも少なくなかった。

 しかしレースでは勝負所で外から捲るように上がっていくと、直線では番手につけたスターズオンアース、逃げたタイトルホルダーと叩き合いに。だが、脚色は明らかにドウデュースの方が上。先行有利と言われる中山で先行勢を外からまとめて交わし去り、G1・3勝目を挙げて見せた。

 最後は5歳の天皇賞(秋)。前年のリベンジを誓って遠征したドバイターフは内で詰まって5着に終わり、帰国初戦の宝塚記念は道悪馬場に脚を取られ6着と、またも満足のいく成績を残せていなかった。

 そして、もう燃え尽きたと再び噂されるようになって迎えた天皇賞(秋)、いつも通り後方から進めたドウデュースと武豊騎手だが、捲ってきた有馬記念とは違い、4コーナーでも彼らはまだ後方から2番手の位置。

 前残りの馬場だった当時の東京では届かないと誰もが思ったその瞬間、溜めていた末脚をドウデュースは炸裂させた。直線、残り200mの地点で瞬く間に大外から前を行く馬たちを交わし去ると、一気に突き抜けてゴールイン。

 その走破時計1分57秒2は、2年前にこのレースを勝ったイクイノックスの時計を0秒3上回るものであった。加えて同馬が繰り出した上り3ハロン・32秒5は、2025年8月現在、JRAの歴代G1で最速である。

 復活を遂げるたびに衝撃を与え、感動を与えてくれたドウデュースの姿は、これから先も色褪せることはないだろう。

【了】

(文●小早川涼風)

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