④マカヒキ(2021年 京都大賞典)
2016年、5戦4勝で日本ダービーを制し、世代の頂点に立ったマカヒキ。同年秋にはフランス遠征も敢行され、異国の地でも勝利を挙げる活躍を見せた。それゆえに、当然古馬となってからの活躍も期待されるのは当然のことだっただろう。
だが翌年、京都記念の3着を皮切りにマカヒキは国内戦を16連敗。とはいえ惨敗だけが続いたわけではない。G1でも掲示板に入り、重賞での2着や3着もあった。
しかし、若駒の際に寄せられた期待とはかけ離れた結果に、ファンからは「もう走るところを見るのが心配だ」「引退させてやってほしい」と声が挙がり、出走する度に馬券人気は下降。
2020年のジャパンカップでは、ダービー馬ながら15頭立て11番人気、単勝オッズが226倍というところまで落ち込んだ。そして最後の勝利から5年、2021年のG2京都大賞典(阪神開催)でも、14頭立て9番人気という低評価だった。
レースは中団から進め、勝負所で鞍上の藤岡康太騎手が追い出すが、その反応は鈍かった。だが、いつものように馬群で伸び悩むのではなく、直線で先頭争いを繰り広げるキセキとアリストテレスの直後まで進出。
仁川の坂を上り切ったところで外に持ち出されると、弾みがついたようにもう一段ギアを上げる。そのまま一完歩ずつ、ゆっくりとアリストテレスを追い詰め、わずかにハナ差交わしたところでゴール坂を駆け抜けた。
ただひたむきに前を追うその姿は、ここまで戦い抜いてきた執念の結実を表しているような脚。ダービー馬の意地を見せたという言葉が良く似合うレースだった。
マカヒキはその後、4戦して現役を引退。2025年8月現在は種牡馬として活動している。彼の不屈の闘志を受け継ぐ馬が競馬場に帰ってくる日が、今から待ち遠しい。