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1995年天皇賞(春)を制した時のライスシャワー
1995年天皇賞(春)を制した時のライスシャワー

③ライスシャワー(1995年 天皇賞・春)

 ミホノブルボンの無敗三冠に、メジロマックイーンの天皇賞(春)三連覇という夢。それらを打ち破った時のライスシャワーの作戦は、まさしくヒットマンと言っていい戦法だった。

 スタートから徹底して大本命を前に見据え、直線で並びかけて競り落とす。展開の利などという言葉では片付けられない走りで勝利する強さである。だが、ライバルたちがターフを去った後、ライスシャワーはスランプに。

 先行して抜け出す強さは鳴りを潜め、気づけば9連敗。そんな状況が続いていた2年後の天皇賞(春)では、出走メンバー中唯一のG1ホースながら、ライスシャワーの人気は4番人気まで落ち込んでいた。

 スタートから中団外目を追走していたライスシャワー。だが、的場騎手は向こう正面あたりで相棒に勢いをつけると2周目の坂の上りを待たずして先頭へ。

 これまで自身が見せてきたスタイルを捨てるばかりか、「ゆっくり上ってゆっくり下る」が定石となっている淀の坂では常識外れとなる奇襲をかけた。その激励に応え、ライスシャワーは単騎抜け出して直線に向いてくる。

 残り200m地点、後続との差は3馬身ほど。押し切るかに見えたライスシャワーに、ステージチャンプが怒涛の勢いで突っ込んできた。

 その差は2馬身、1馬身、アタマ、クビと詰まり、ハナ差まで縮まる。だが、そこでゴール。これまでとは違い、ライスシャワーの無尽蔵なスタミナを存分に見せてG1・3勝目を飾った。勝負師と呼ばれる的場騎手の手腕も光る復活劇だった。

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