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ある日突然、怪物へと変貌…もう誰も手が付けられない【ガチ“覚醒”を遂げた名馬 5選】

text by 中西友馬

競走馬の成長曲線は十馬十色。早くから頭角を現す馬もいれば、時間をかけて力をつける馬もいる。その中で稀に「覚醒」という言葉がふさわしいほど、途中から一気に飛躍し、怒涛の勢いでG1タイトルまで手にする馬が現れる。今回は、そんな「覚醒」を遂げた5頭を厳選し、それぞれの歩みについてじっくりと紹介する。

2009年天皇賞(秋)を制したカンパニー
2009年天皇賞(秋)を制したカンパニー

①カンパニー

 最初に紹介するのは、カンパニー。同世代のダービー馬はキングカメハメハという、「キンカメ世代」のカンパニーだが、クラシックへの出走は菊花賞(9着)のみ。

 その後、古馬となってからは重賞勝利を積み重ねていくも、G1ではあと一歩というレースが続いていた。

 月日は流れ、迎えた8歳シーズン。7〜8歳での中山記念連覇という偉業を達成するも、安田記念と宝塚記念では続けて4着に敗れた。

 秋始動戦の毎日王冠で、断然人気のウオッカを破って重賞7勝目を挙げるも、続く天皇賞(秋)では、「G1では足りない馬」という印象からか、5番人気(単勝オッズ11.5倍)に甘んじていた。

 しかし、中団インコースで脚を溜め、直線で進路が開くと8歳馬とは思えない切れ味を見せて突き抜け、真っ先にゴール板を駆け抜けた。7歳時からコンビを組む横山典弘騎手は高々と右手を上げ、キスをした左手でカンパニーの首元をポンと叩いた。

 勝ったカンパニーは、13回目の挑戦にしてG1初制覇。8歳馬による平地G1制覇は、JRA史上初の偉業であった。

 陣営はその後、次走のマイルCSを引退レースとすることを発表。G1・14戦目にして初めて1番人気(単勝オッズ2.3倍)に支持された一戦でも人気に応え、G1を連勝。

 引退目前に本格化を果たしたような走りを見せたカンパニーは、惜しまれながらもターフに別れを告げた。

 重賞9勝のうち6勝を7歳以降に挙げ、8歳秋にG1を連勝。「覚醒」という言葉に相応しい、いぶし銀の名馬であった。

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