④2017年フェブラリーS(ゴールドドリーム)
2015年にJRA所属となったデムーロ騎手は、短期免許で来日していた頃以上の結果を残した。移籍初年度の騎手リーディングは3位、翌年も4位と安定して上位に入り、初年度にはいきなり日本ダービーを制する快挙。
たびたび飛行機になる彼自身が、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。そんな彼のもとに巡ってきた有力馬の一頭が、ゴールドドリームだった。
デビューから3連勝でヒヤシンスステークスを勝ち、夏にはユニコーンステークスも勝利したゴールドドリーム。将来を見据え、古馬初対決となった武蔵野ステークスでデムーロ騎手と初コンビを組んだ。
だが、そこから2戦は出負けを連発。チャンピオンズカップではスタートからの巻き返しに脚を使わされた感もあり、2番人気に支持されながら12着に敗れていた。
そしてこのフェブラリーステークスも、絶好のスタートとはいえない発馬。だが、デムーロ騎手は前2走のレースから無理に巻き返さず、中団からレースを進めることを選択した。
これが600m通過34.0秒という、同レースの過去10年では最も速い通過タイムで進んだペースにビタリとハマった。道中存分に脚を溜めたゴールドドリームは、直線で外に持ち出されると手応え抜群に坂を駆け上がる。
抜け出してからはまさに横綱相撲で、追い込んできたベストウォーリアに並ばせることなく押し切り勝ち。念願のG1初制覇を成し遂げた。
ゴール後、デムーロ騎手はほんの一瞬手綱を離し、JRA所属となってからは初の飛行機ポーズを見せてくれた。彼はこれがJRA移籍後9回目のG1勝利となり、フェブラリーステークスは前年のモーニンに続く連覇を達成した。
2年連続で年度最初のG1を1着で飾り、最高のスタートダッシュを決めたデムーロ騎手は、この年キャリア最多の年間G1・6勝を記録し、騎手リーディングも戸崎騎手と並んで全国2位タイという素晴らしい成績を残す。
そんな年の最初に彼が見せてくれたこのポージングは「ゴールドフライト」と呼びたい。