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Red Falx
第50回スプリンターズSを制したときのレッドファルクス

⑨2016年(勝ち馬レッドファルクス)

 スノードラゴンの勝利から2年。2016年の主役もまた、芦毛の二刀流レッドファルクスであった。

 この年、圧倒的な支持を受けていたのはビッグアーサー。デビューこそ遅かったが、無傷の5連勝でOP入り。その後、重賞初制覇をG1の高松宮記念で果たし、前哨戦のセントウルステークスも58キロを背負って勝利していた。死角はないように見え、単勝1.8倍という断然の1番人気に推されていた。
 
 2番人気は高松宮記念でビッグアーサーの2着だったミッキーアイル。3歳時にNHKマイルカップを勝っており、香港遠征を除いてスプリント戦で大崩れしたことのない馬であった。

 そして3番人気がレッドファルクス。芝で3勝を挙げていたが、ダートでも4勝と芝・ダート兼用の二刀流。ただ前走のCBC賞で重賞初制覇を飾ったばかりで、これまで一線級の馬たちと戦ったことはなかった。

 レースは、8枠15番という外枠からでもダッシュを利かせたミッキーアイルがハナを切り、1枠1番からスタートしたビッグアーサーは好位のインを追走。その直後の外めにレッドファルクスが続くという隊列になった。

 ミッキーアイルは上手くペースを落とし、前半600mの通過は33秒4と、良馬場にしては遅めの流れを作り出す。その結果、直線を向いたところで馬群は密集。ビッグアーサーは余力十分の手ごたえに見えたが、馬群の真ん中で前が開くのを待っていた。残り200mで外に切り替えようとするが、そこには伸びてきたレッドファルクスがいて絶体絶命。再度内を突くも馬群が開くことはなく、12着に敗れた。

 先頭争いは最内で粘り込みを図ったミッキーアイルに、1完歩ごとに差を詰めるレッドファルクス。ゴール前できっちりとアタマ差交わしたレッドファルクスが、G1初制覇を飾った。

 一気にスプリント界の頂点に上り詰めたレッドファルクスは、翌年のスプリンターズSも制して、ロードカナロア以来の連覇を達成。6歳となった芦毛の馬体は、より一層白く輝いていた。

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