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Snow Dragon
第48回スプリンターズSを制したときのスノードラゴン

⑧2014年(勝ち馬スノードラゴン)

 ロードカナロアが連覇を達成した翌年の2014年。絶対王者が引退したスプリント界は混沌としていた。

 春の高松宮記念は明け4歳馬のコパノリチャードが3馬身差の快勝。新時代の幕開けかと思われたが、続く京王杯スプリングカップでは7着に大敗。やはり絶対的な存在がいないまま、秋のスプリンターズSを迎える。

 さらにこの年は、中山競馬場が改修工事で使えないため、スプリンターズSは新潟競馬場で行われた。いつもより長い期間新潟競馬場を使用していることもあり、夏の新潟とは思えないほどに芝コースは荒れていた。さらに良馬場発表とはいえ雨まで降っており、波乱の要素が全て詰まったような一戦となった。

 1番人気は前年2着のハクサンムーン。2013年のセントウルSで、全盛期のロードカナロアを破っている実績の持ち主で、悲願のG1タイトル奪取のチャンスと見られていた。

 2番人気は牝馬のストレイトガール。春の高松宮記念とヴィクトリアマイルでともに3着。鞍上の岩田騎手はスプリンターズS3連覇がかかっていた。

 さらに3番人気に春の王者コパノリチャードが続いていたが、どの馬にもチャンスがある印象で、オッズも比較的割れていた。

 レースは好ダッシュを決めたハクサンムーンの内からダッシャーゴーゴーが並びかけてハナを切る展開。その隊列のまま直線を迎え、残り300mでハクサンムーンが先頭に立つ。しかし新潟のレースらしく、内外に広がって後続が追い上げてくると、ハクサンムーンの内に進路を見つけたストレイトガールが伸びてくるが、馬群の外から白い馬体がまとめて交わしたところがゴール。

 先頭でゴールを駆け抜けたのは、13番人気の伏兵スノードラゴンであった。春の高松宮記念で2着に好走しながら、直前のキーンランドカップで8着に敗れ、評価を落としていた。しかし、ダートもこなすパワータイプのスノードラゴンにとって、荒れた馬場で時計のかかるレースになったことがプラスに働いていた。

 この後、なんと11歳まで現役を続けたスノードラゴン。このレースの後に勝利を挙げることはできなかったが、ファンの多い馬であった。千載一遇のチャンスを生かしたこのレースは、ファンの記憶に強く刻み込まれている。

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