④2022年・天皇賞・春(シルヴァーソニック)
~ゴール板通過後に見せた華麗な大技~
2022年のステイヤーズSと翌23年のレッドシーターフハンデキャップをD.レーン騎手とのコンビで制したシルヴァーソニック。無尽蔵のスタミナを武器に、続く天皇賞・春でも、しぶとく3着に食い込んだ。
シルヴァーソニックはその前年の天皇賞・春にも出走。この時は川田将雅騎手を背に単勝8番人気と穴馬の1頭として注目を集めていた。重賞未勝利、G1初挑戦にもかかわらず、3200mなら大崩れはないだろうというファンの心理もあったはずだ。
しかし、3分以上に及ぶはずだったシルヴァーソニックと川田騎手の長旅はわずか1秒で終わりを迎える。ゲートが開いた瞬間、シルヴァーソニックは躓きつんのめりになると、鞍上の川田騎手がバランスを崩し落馬、競走中止となった。
川田騎手は何事もなかったように立ち上がったが、シルヴァーソニックはカラ馬のまま3200mを走り続けることに。鞍上不在のまま徐々に先行集団に取り付くと、いつの間にかインの絶好位につけていた。
向正面で逃げるタイトルホルダーをマークするように2番手を追走。“いい手応え”で最後の直線を迎えたが、最後までタイトルホルダーとの差が縮まることはなかった。
自らの意思で最後まで走り切り、場内を沸かせたシルヴァーソニック。しかし、その数秒後に阪神競馬場はファンの悲鳴に包まれる。
なんとゴール板を駆け抜けた後、シルヴァーソニックは1~2コーナーの外ラチに激突。背面ジャンプのような体勢で飛び越え、背中から地面に叩きつけられたまま、数分間起き上がれなかった。最悪の事態も頭をよぎったが、自力で立ち上がると、競馬場には安堵の拍手が広がった。
レース後にJRAから人馬ともに異状なしという発表があった。これにはファンもホッと胸をなでおろしたに違いない。