【武豊一筋の名馬5選】まさに一心同体!武豊騎手と全レースを共にした黄金コンビの物語
1987年のデビュー以来、数々の大記録を打ち立て、今もその記録を塗り替え続けている武豊騎手。彼と蹄跡を共にした名馬は非常に多く存在するが、デビューから引退まで手綱を託された馬は、実はそれほど多くない。そこで今回は、武騎手がデビューから一貫して騎乗、なおかつG1を制覇した5頭の名馬を紹介する。
①マーベラスサンデー
栗東の大沢真師に預託されたマーベラスサンデーはデビュー前、同じ地区に所属する1歳上のオースミタイクーンと併せ馬を行ったが、その調教で先輩であるはずのオースミタイクーンをぶっちぎった。
この走りを見て、同馬を管理する武邦彦師は「息子の豊を乗せてやってくれませんか」と大沢師に頼んだという。以降、武騎手は引退までマーベラスサンデーの手綱を取り続けた。
右膝の故障でデビューが遅れたものの、4歳(旧齢)2月の新馬戦、3月のゆきやなぎ賞を連勝したマーベラスサンデーは、一気にクラシックの惑星候補として頭角を現した。
だがここで再び右膝を骨折し、秋には左後脚も故障。1年後の4月に出走した復帰初戦は4着と凡走に終わり、順調とはいえない競走馬生活が続いていた。
しかし、次走の鴨川特別を快勝すると、ここから一気に重賞4勝を挟む6連勝。秋には天皇賞、有馬記念で好走し、サクラローレル、マヤノトップガンといった超一流馬2頭と共に3強として数えられるほどまでに成長した。
翌年、天皇賞・春ではサクラローレル、マヤノトップガンを相手に3着と終わったが、彼らのいない宝塚記念は負けられない。武騎手は抜け出すと物見をする癖のあるマーベラスサンデーの集中力を切らさないため、ギリギリまで我慢し、最後の最後で交わすという作戦を取った。
レースはタイキブリザードが逃げ、マーベラスサンデーは後方から徐々に進出していく。そして直線の坂下でその脚を伸ばすと、抜け出しを図ったバブルガムフェローを目標に追撃を開始し、一気に交わす。
大沢師が「こういうレースをやってほしかった」と絶賛した鞍上の手腕によって抜け出したマーベラスサンデーは、そのまま外から追い込んできたダンスパートナーも抑えて優勝。悲願のG1制覇を叶えた。