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Panthalass
第96回中山記念を制したときのパンサラッサ

⑤パンサラッサ

 香港スプリントを連覇し、「世界のロードカナロア」と称された父の血を受け継ぎ、世界で活躍した産駒もいた。それがパンサラッサである。

 父の3世代目としてデビューすると、3戦目の未勝利戦で、後続を2秒5引き離す大差勝ちで初勝利を挙げる。しかしその後は、重賞勝ちだけでなくOPクラスでの勝利もないまま、4歳を迎えた。

 転機となったのは、4歳秋のオクトーバーS。初めて吉田豊騎手とのコンビを組んだ一戦で、道中後続を10馬身近く引き離す大逃げ。最後はアタマ差まで詰め寄られたものの逃げ切り、OPでの初勝利を挙げた。

 続く福島記念でも前半1000m57秒3というハイペースを逃げ切り、重賞初制覇。ハイラップであっても自分のペースを刻み、後続になし崩し的に脚を使わせるという戦法が、確立した瞬間であった。

 その戦法が世界にも通用することを見せたのが、翌年のドバイターフだ。初の海外遠征でも積極的にハナを奪うと、翌年ドバイターフ3連覇を達成する、イギリスのロードノースと鼻面を併せて入線。写真判定の結果、1着同着でG1初制覇を飾った。

 さらに大きなインパクトを残したのが、同年の天皇賞(秋)。前半1000m57秒4のハイラップについてくる馬はおらず、道中は15馬身ほどのリードを作る大逃げ。ゴール寸前で、後に世界ランキング1位となるイクイノックスに交わされはしたが2着に粘り、ファンを大いに沸かせた。

 翌年のサウジカップでも、2度目のダート挑戦ながら逃げ切り勝ちを収め、再び世界を驚かせたパンサラッサ。

 同年のジャパンカップを最後に現役を引退し、種牡馬となることが発表された。

 国内獲得賞金の合計が約3億円なのに対して、サウジカップ1戦だけで約13億6000万円を稼ぎ、一口馬主に夢があることを教えてくれたパンサラッサ。

 南半球での種付けも予定されており、現役時代同様に世界を股にかけての活躍が期待される。

(文●中西友馬)

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