④ファストフォース
ダノンスマッシュと同じく、高松宮記念で父仔制覇を果たしたのが2世代目のファストフォースであった。
母のラッシュライフは現役時代に重賞で2着2回の実績を残しており、兄のアデイインザライフは新潟記念を勝っている良血馬であった。
しかし2歳時からG1に出走していたダノンスマッシュに対して、こちらはデビュー自体が3歳の6月とかなり遅め。しかも後にスプリントG1を勝つ馬にも関わらず、芝2400mでのデビューであった。
デビュー戦で12着に敗れると、その後も未勝利戦をなかなか勝てず、6戦0勝でホッカイドウ競馬に転出となった。
そして4歳春からホッカイドウ競馬で新たな船出を切ると、4戦3勝の成績を残して中央に再転入を果たす。
中央1勝クラスからの再スタートとなったが、初の芝1200m戦で中央初勝利を挙げる。さらに2勝クラスでも連勝を果たすと、5歳夏のCBC賞では格上挑戦で重賞初出走。3勝クラスの身ながら逃げ切り、重賞初制覇を果たした。勝ちタイムは1分6秒0の日本レコードであった。
その後1年半以上勝利から遠ざかっていたが、迎えた7歳春の高松宮記念。雨によって不良馬場で行われた一戦で、中団からレースを進めると、直線は馬群の真ん中から力強く伸び、単勝12番人気の低評価に反発して勝利。
自身のG1初制覇を飾っただけでなく、6歳秋から主戦を務めていた鞍上の団野騎手にとっても、嬉しいG1初勝利となった。
CBC賞を1分6秒0で逃げ切ったのに対して、高松宮記念は1分11秒5で差し切り勝ち。どんな馬場でもどんな戦法でも力を発揮できる、稀有なタイプであった。
このレースを最後に現役生活を引退。種牡馬入りが発表され、レコードホルダーの豊かなスピードが産駒にも受け継がれることが期待される。