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【東大流・次世代スター発掘】白毛のニューアイドル・マルガ「GⅠレベル」の★6評価!

text by 鈴木ユウヤ

2025年6月8日新馬戦を勝利したダノンヒストリー
2025年6月8日新馬戦を勝利したダノンヒストリー

6月7日~6月29日の2歳戦レビュー

東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、来年のクラシックを見据えて2歳の有望株を発掘していく連載。
第1回は6月の新馬戦開幕から7月13日までに出走した2歳馬のうち、内容がよかった馬、話題になった馬をピックアップ。歴代のタイムやラップとも比較しながら評価する。

【評価の目安】
★7:GⅠ確定レベル
★6:GⅠレベル
★5:重賞レベル
★4:OPレベル
★3:水準レベル
★2:やや物足りない
★1:物足りない

◆ディバインウインド

6月7日 新馬 東京芝1600m 1着
評価:★★★★★
騎手:D.レーン
厩舎:美浦・堀宣行
父:スワーヴリチャード
母:ストロベリームーン
母の父: キンシャサノキセキ

《短評》
好発から2番手を追走し、直線に向いてもしばらく追い出しを待つ余裕あり。残り400m弱でゴーサインが出るとあっという間に逃げ馬をかわし、最後は流して3馬身半差の完勝だった。

勝ち時計1:34.4は「2歳6月東京マイル新馬」としてはグランアレグリア(1:33.6)に次ぐ歴代2位のタイム。ボンドガール1:34.6、ゴンバデカーブース1:34.8、ステルヴィオ1:34.8などと比較しても優秀だった。世代重賞で勝ち負け可能、あわよくばGⅠまで見込める器だ。

◆チュウワカーネギー

6月7日 新馬 阪神芝1600m 1着
評価:★★★★
騎手:北村友一
厩舎:栗東・大久保龍志
父:モーリス
母:デックドアウト
母の父:Street Boss

《短評》
スタートを決めてそのままハナに立ち、残り600mからペースを上げて後続を振り切りにかかった。一度は広げたリードを最後は2着アンドゥーリルに詰められたが、3/4馬身差で勝利した。

全体時計1:36.2はさほど目立たないが、前半3F38.2秒、次の区間12.8秒と序盤が極めて遅く、タイムが出なかったのは仕方ない。ラスト3F10.9-10.9-11.4と上がりは優秀だった。また、上がり最速32.8秒で追い込んだ2着アンドゥーリルも能力は高そうだ。

◆ダノンヒストリー

6月8日 新馬 東京芝1800m 1着
評価:★★★★★
騎手:D.レーン
厩舎:美浦・堀宣行
父:エピファネイア
母:コーステッド
母の父:Tizway

《短評》
抜群の好スタートとは言えなかったが、そこから促してハナへ。淡々とレースを運び、残り200mあたりで後続を振り切ってセーフティリード。最後はアウダーシアに追い上げられたが、それでも2馬身半の差を保ってゴールした。

勝ち時計1:46.8は昨年のクロワデュノール新馬(1:46.7)に迫るもので、6月東京芝1800mで言えばダノンエアズロック(1:48.1)やジオグリフ(1:48.2)よりも速い。間違いなく優秀な記録ではある。ただし、スローペースから後半5F57.3秒という衝撃的ラップだったクロワデュノールに比べると、こちらは1000m通過59.8秒と序盤からある程度流れて出たタイム。まだ「GⅠ当確」と言うには早計だろう。

◆ファムマルキーズ

6月8日 新馬 阪神芝1400m 1着
評価:★★★★★
騎手:高杉吏麒
厩舎:栗東・大久保龍志
父:キタサンブラック
母:ダイワダッチェス
母の父:ワークフォース

《短評》
道中は中団で促されつつの追走。徐々にエンジンがかかって4角で外から勢いよく進出し、最後は2着馬を競り落として1.1/4馬身差で勝利した。

勝ち時計1:21.8は2歳6月の阪神芝1400m新馬としては最速タイ。また、総じて遅咲き傾向のあるキタサンブラック産駒にとってこの時期の新馬勝ちは珍しく、2歳7月までに新馬を勝った馬はクロワデュノール、サトノカルナバル、ピコチャンブラック、ラヴェルといずれも後の重賞馬だった(※現2歳を除く)。道中のモタつき方を見るにもう200mは延びて大丈夫だろう。阪神JFや桜花賞戦線で楽しみ。

◆ドリームコア

6月14日 新馬 東京芝1600m 1着
評価:★★★
騎手:D.レーン
厩舎:美浦・萩原清
父:キズナ
母:ノームコア
母の父:ハービンジャー

《短評》
出負け気味のスタートからリカバーして先頭へ。後続を引き付けて直線に向き、残り200mあたりからリードを徐々に広げて2馬身半差の快勝だった。

ただし勝ち時計1:36.7はこの開催で4鞍組まれた2歳戦のなかで最遅。稍重になった翌日のリアライズシリウス戦より1.0秒遅い。前評判の高い馬だが、初戦のレース内容自体はあまり強調できない。

◆サレジオ

6月15日 新馬 阪神芝1800m 1着
評価:★★★★
騎手:C.ルメール
厩舎:美浦・田中博康
父:エピファネイア
母:サラキア
母の父:ディープインパクト

《短評》
序盤は内のカクウチに行かせて2番手を追走していたが、600m過ぎくらいでハナを奪ってそこから逃げる競馬。直線に向くと他の先行馬を一気に突き放したが、最後はローベルクランツが猛追してきてクビ差の辛勝となった。

勝ち時計1:49.3はこの時期と重馬場を加味すれば悪くない数字。ただ、新馬戦らしいスローの楽逃げだった割にラスト詰め寄られた点で不満も残る。ローベルクランツともどもハイレベルの可能性もあるが、今回は★4としておく。

◆モノポリオ

6月21日 新馬 東京芝1800m 1着
評価:★★★★★
騎手:C.ルメール
厩舎:美浦・森一誠
父:リアルスティール
母:ミスエーニョ
母の父:Pulpit

《短評》
道中は4~5番手を追走。序盤は進みがあまりよくなかったが、外に出してからは手応えがよく、直線も外から楽々と抜け出した。2着には2馬身半差をつけた。

勝ち時計1:47.8は前述したダノンヒストリーに比べるとちょうど1秒遅い記録だが、それでも2歳6月の東京芝1800m新馬としては歴代3位。好位追走から直線でゴーサインにしっかり反応することができて、経験としても好印象のデビュー戦だった。

◆ペルセア

6月21日 新馬 東京ダ1400m 1着
評価:★★★★★★
騎手:C.ルメール
厩舎:美浦・武井亮
父:ドレフォン
母:テルモードーサ
母の父:キンシャサノキセキ

《短評》
好スタートからそのまま逃げ。直線は2着馬アルカディアカフェとの完全な一騎打ちになり、最後まで抜かせず勝利。3着以下には6馬身の着差が付いた。

2歳6月の東京ダ1400m新馬自体、近2年アマンテビアンコ(羽田盃)とクレーキング(東京ダービー2着)が勝った「出世レース」で、今年の勝ち時計1:25.1は当該条件の歴代最速。上がり3F36.3秒も上記2頭より速い数字だった。血統的に距離はおそらくマイルまでで、砂を被った時にどうかという懸念も残ったが、能力はアルカディアカフェともどもGⅠ(JpnⅠ)級と見る。

◆サノノグレーター

6月22日 新馬 東京芝1600m 1着
評価:★★★★★
騎手:横山琉人
厩舎:美浦・尾形和幸
父:グレーターロンドン
母:メメクザリアーナ
母の父:ジャングルポケット

《短評》
開幕週の新馬戦に出走予定だったが取消となって仕切り直しの一戦。序盤はダッシュが付かずに後ろからの競馬になるも、直線は外に持ち出されると鋭く伸び、上がり最速で豪快に差し切った。

勝ち時計1:34.6は優秀だったディバインウインド組と0.2秒差。上がり33.9秒は同2位の馬より1.2秒速かった。2歳6月の東京マイル新馬を「全体時計1:34.9以下」かつ「上がり33秒台」で勝った馬はグランアレグリア、ボンドガールに続く3例目。次走は新潟2歳Sが予定されているそうだが、まず好勝負になるだろう。

◆ロスパレドネス

6月29日 新馬 福島芝1800m 1着
評価:★★★★
騎手:C.ルメール
厩舎:美浦・木村哲也
父:ドレフォン
母:アロマティコ
母の父:キングカメハメハ

《短評》
パドックでは馬っ気全開で“五本脚”の堂々たる周回。道中は馬群の切れ目、6番手を追走し、勝負どころでややモタつく場面もあったが、最後は外から2馬身抜け出した。

ラスト2Fは12.1-12.0の加速ラップ。勝ち時計1:49.5は福島芝1800mの2歳新馬としては歴代2位の好タイムだった(1位はヴィクトリアマイルと香港Cを勝ったノームコア)。ジオグリフの全弟という良血馬が好発進を決めた。

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