④テイエムスパーダ×今村聖奈(2022年CBC賞)
~18歳ルーキーが重賞初騎乗V~
テイエムプリキュアの逃亡劇から13年。同じテイエム軍団の3歳牝馬テイエムスパーダが電撃の6ハロン戦をまんまと逃げ切った。父レッドスパーダ、母の父アドマイヤコジーンという短距離色が濃い血統のテイエムスパーダは、2歳夏のデビューから小倉の1200m戦で3戦2勝、2着1回と天性のスピードを発揮していた。
その後は桜花賞を見据えて、フィリーズレビューに出走したが13着に敗れると、続く葵Sはスタートで躓く不利もあって11着に惨敗。それでも、仕切り直しの2勝クラスを快勝し、CBC賞に格上挑戦を果たした。
主戦の国分恭介騎手は48キロでは騎乗不可のため、当時18歳のルーキー今村聖奈騎手に白羽の矢が立てられた。3月に騎手デビューを果たした今村騎手は、5月に8勝を挙げるなど、順調に勝利を重ねていたが、重賞騎乗はこれが初めて。陣営は「ハナにはこだわらない」というコメントも出していたが、ルーキーが採った策は軽量を生かした逃げの手だった。
内からアネゴハダ、外からスティクスなどがダッシュを利かせてハナをうかがうが、そうはさせまいと今村騎手はハナを主張。前半3ハロン31秒8の超ハイペースを刻むと、直線入り口で3馬身のセーフティーリードを奪っていた。この年は小倉開催だったことも幸いしたか、平坦な直線で最後まで後続との差が詰まることはなかった。
「昨日今日と前々につける馬に乗せていただき、いろいろ試行錯誤してこのレースに向き合いました」と、今村騎手はレース後、周囲のお膳立てに感謝の意を表するとともに「逃げ切る気持ち良さをしみじみと感じながら、人馬一体になれたのではと思います。お客様に喜んでいただけたなら最高です」と喜びを口にした。
3馬身半差の2着に追い込んだのは、トップハンデの57キロを背負っていたタイセイビジョン。川田将雅騎手の「勝ち馬とは9キロ差ありながらここまで頑張ってくれたので素晴らしい走りでした」というコメントがレースを物語っていた。