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2013年愛知杯を制したフーラブライド
2013年愛知杯を制したフーラブライド

③フーラブライド×酒井学(2013年愛知杯)

~未勝利突破に丸1年要するも3連勝で重賞V~

 自身も一流ダート馬だったゴールドアリュール。その産駒はJRAの重賞を26勝しているが、芝ではわずか4勝。そのうちの2勝を挙げているのが、牝馬のフーラブライドである。フーラブライドは2歳夏に札幌でデビュー。芝で3戦するも、4着が最高着順だった。その後はダートに転じ、3歳夏までデビューからの連敗は12に伸びていた。

 ようやく初勝利を手にしたのは、3歳夏の13戦目。そして、本格化したのは4歳秋を迎えてからだった。4歳の9月に自身2度目の500万下(現1勝クラス)を勝利したのは、2年ぶりに走った芝でのレースだった。続く1000万下(現2勝クラス)も勝利し、出走したのが、2013年12月に開催された牝馬限定重賞の愛知杯である。フルゲートの18頭で争われた一戦は上が57キロ、下は49キロ。ハンデ差は実に8キロあった。2連勝中とはいえ、準オープンに昇級したばかりのフーラブライドは50キロとハンデに恵まれた。

 人気を集めたのはその年の秋華賞で2着に好走した3歳馬のスマートレイアー。強烈な末脚が武器のディープインパクト産駒は55キロを背負っていた。フーラブライドの鞍上を務めたのは、これが3度目コンビの酒井学騎手。48キロでも騎乗可能な中堅騎手として当時からハンデ戦では重宝される存在だった。

 12番人気(単勝オッズ43.7倍)という伏兵扱いのフーラブライドだったが、好スタートを決めると、酒井騎手はスマートレイアーの直後という絶好位をキープ。同馬を前に見ながら中団7~8番手の外に進路を取った。最後の直線を向いて、馬群は横一線の大混戦。スマートレイアーが内で伸びあぐねる中、馬群のちょうど真ん中から力強く先頭に立ったのがフーラブライドだった。

 残り100mを切ったところで先頭に躍り出ると、最後はキャトルフィーユとコスモネモシンの追撃をしのいだ。レース後、酒井騎手が「オープン馬を相手に勝つのですから力をつけています。これからも楽しみです」と話した通り、充実一途のフーラブライドは、次走の日経新春杯でも牡馬相手に3着と好走。さらに続く中山牝馬Sを1番人気で制し、愛知杯の勝利がフロックでなかったことを証明した。

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