HOME » コラム » 5選 » イングランディーレなど後の天皇賞馬も輩出した金沢伝統の交流重賞【白山大賞典名勝負5選】 » ページ 4
A Shin Moreover
2012年のマリーンSを勝ったときのエーシンモアオバー

④2014年(勝ち馬エーシンモアオバー)

 異例の金沢所属限定戦となった2007年から6年が経った、2013年の白山大賞典。

 この年は7歳馬のエーシンモアオバーが勝利。名古屋GPに続く、交流重賞2勝目を飾ったのだが、そこから勝利はおろか、連対もゼロのまま1年が経つ。年齢が8歳ということもあり、衰えが指摘され始めて迎えたのが、2014年の白山大賞典であった。

 1番人気は重賞3勝馬のソリタリーキング。重賞勝ちだけでなく同年の帝王賞3着など、G1級でも善戦が目立つ馬であった。

 2番人気は船橋所属のサミットストーン。交流重賞での勝利こそないが、前年の白山大賞典で5着。さらに同年のダイオライト記念では3着と、JRA勢相手にも互角の戦いを見せていた。また、ソリタリーキングより4キロも軽い54キロで出走できるのは、大きなアドバンテージであった。

 3番人気はグラッツィア。こちらも重賞未勝利ながら、前年の川崎記念では3着に好走。サミットストーンと同じく、54キロで出走できるのは魅力的であった。

 そして4番人気が、前年覇者のエーシンモアオバー。1年間連対がないだけではなく、前走のエルムSでは11着と大敗。それにより人気を落として、発走を迎えた。

 レースは、グラッツィアも押して先手を奪いに行くが、内枠を利してエーシンモアオバーがハナを切る展開。グラッツィアは2番手に控え、そのすぐ後ろにサミットストーンがつける。人気のソリタリーキングは、中団の前あたりから進めていく。ペースが一気に上がったのは2周目の3角あたり。前を行く2頭が少し後ろを引き離すが、必死に前を追うサミットストーンとソリタリーキングが再びジリジリと差を詰めてきて4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、後続を振り切ったエーシンモアオバーが先頭。追走していたグラッツィアは苦しくなり、代わって2番手に浮上したのはサミットストーン。

 外から必死にエーシンモアオバーとの差も詰めようとするが、最後はほぼ同じ脚いろとなり、エーシンモアオバーが押し切って勝利。サミットストーンから3馬身離れた3着には、グラッツィアが粘り込んだ。

 勝ったエーシンモアオバーは、当時のコースレコードとなる2分12秒5で逃げ切り、キョウトシチー以来の白山大賞典連覇を達成。1年間連対がなく苦しんでいたが、得意舞台で見事な復活劇を見せた。

 エーシンモアオバーは現役引退までに交流重賞4勝を挙げたが、内訳は白山大賞典2勝に名古屋GP2勝。金沢2100mと名古屋2500mには絶対の自信を持つ馬であった。

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