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2015年天皇賞春を制したゴールドシップ
2015年天皇賞春を制したゴールドシップ

③ゴールドシップ

 「父子3代による天皇賞制覇」を達成したメジロマックイーン。残念ながら直仔はホクトスルタンの4着が最高で「父子4代制覇」はならなかった。だが、孫であるドリームジャーニーやオルフェーヴルなどが活躍したことにより、父ステイゴールド×母の父メジロマックイーンの「黄金配合」に注目が集まる。そして、祖父と同じ芦毛のゴールドシップもまた、この組み合わせから誕生した馬であった。

 3歳時に皐月賞と菊花賞の二冠に加え、有馬記念まで制覇したゴールドシップ。古馬となって以降も宝塚記念を2連覇するなど順調な活躍をみせていたが、不思議と菊花賞馬と相性の良い天皇賞・春だけは勝利がなかった。なぜなら過去2回の挑戦では出遅れ、直線を向いた時には全く前に進まない「気まぐれ」を見せていたためである。

 そして、3回目の挑戦であるこの時も、彼は枠入りを渋り、これまで同様出遅れた。しかし、この年はここからが違う。跨る横山典弘騎手が「とにかく馬がそっぽを向かないように」無理に押し上げず後方から進めたことで道中を気分良く進めると、坂の下りでグングン進出。

 横山騎手はいつもの「お願い」ではなく「ゲキを飛ばす」ように鞭を入れ、エンジンが点火し始めたゴールドシップがより燃えるように仕向けた。その甲斐あってか直線で抜け出したゴールドシップは最後まで気を散らすことなく走り抜け、後方から追い込んできたフェイムゲームに前を譲ることなくゴールイン。祖父の制覇から24年後、ふたたびその血が淀のターフに輝いた瞬間だった。

 キレる脚はなくとも追われれば追われるだけ伸び、ひとたび気持ちが前に向けば誰にも負けない二枚腰を見せていたゴールドシップ。そのスタミナは祖父のメジロマックイーン譲りだろうが、ゴールドシップはもしかすると祖父の名の由来となったアメリカの俳優スティーブ・マックイーンの名優ぶりも受け継いでいたのかもしれない。彼の競走生活は、エンターテイナーとしては100点満点をあげてもいいほど波乱に満ちていたのだから。

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