HOME » コラム » 5選 » 90年代は伝説の名馬たちが制してきた伝統の一戦。3連覇した中山猛者も登場【オールカマー名勝負5選】 » ページ 3

Hishi Amazon
第41回オールカマーを制したときのヒシアマゾン(写真奥)

③1995年(勝ち馬ヒシアマゾン)

 ツインターボの大逃げⅤから2年が経った、1995年のオールカマー。前年までG3で行われてきたオールカマーであったが、この年からG2に格上げされた。

 そんな記念すべき年の1番人気は、ツインターボと同じ中舘騎手鞍上のヒシアマゾン。ヒシアマゾンは前年、重賞6連勝でエリザベス女王杯を制覇。勢いそのままに、有馬記念でもナリタブライアンの2着に好走していた。5歳(現4歳)シーズン初戦の高松宮杯こそ5着に敗れたが、この年のメンバーでは実績面で一枚上の存在であった。

 2番人気は、こちらも牝馬のアイリッシュダンス。G1出走経験こそなかったが、重賞2勝をマークしていた。特に直前の新潟記念では、抜けたトップハンデを背負いながらも4馬身差の快勝。6歳(現5歳)にして充実期を迎えている印象であった。

 3番人気はヤシマソブリン。こちらは前年のラジオたんぱ賞を勝利しており、ダービーと菊花賞でもそれぞれナリタブライアンの3着と2着に好走。世代トップクラスの力を見せていた。5歳(現4歳)シーズンに入ってから、目立った成績は関屋記念の3着ぐらいであったが、力は秘めていると見られていた。この3頭が上位人気を固め、発走を迎えた。

 レースは、大外枠からアイビーシチーがハナを切り、レガシーワールドが2番手につける。ヤシマソブリンは中団の後ろあたりから進め、それを見るようにヒシアマゾン、さらにその後ろからアイリッシュダンスが続く展開となった。多少雨の残る稍重の馬場とはいえ、前半1000mの通過は65秒2という超スローペース。人気各馬は軒並み中団~後方につけていたが、3角手前でヒシアマゾンが2番手まで上昇。それに呼応したテンジンショウグンも外からヒシアマゾンに並びかける。馬群が一気に凝縮して一団のまま、4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、ヒシアマゾンとテンジンショウグンが並んで先頭を争うも、その争いから抜け出したヒシアマゾンが、ジリジリとリードを作っていく。突き離されたテンジンショウグンは苦しくなり、代わって外から伸びてきたのがアイリッシュダンス。良い勢いでヒシアマゾンにも迫り、残り100mからは2頭による一騎打ち。一気にクビ差まで迫るも、そこからヒシアマゾンが並ばせない。結局そのクビ差を守り切ったヒシアマゾンが勝利。アイリッシュダンスから3馬身半離れた3着には、道中最後方から追い上げたカミノマジックが入った。

 勝ったヒシアマゾンは、続く京都大賞典も勝利し、重賞を連勝。さらにはJCでもランドの2着に好走するなど、牡馬相手に一歩も引かない走りを見せた。まだ牡馬と牝馬の力差があるこの時代、牡馬と互角に戦ったヒシアマゾンは、『女傑』と称された。

1 2 3 4 5 6