HOME » コラム » 5選 » 90年代は伝説の名馬たちが制してきた伝統の一戦。3連覇した中山猛者も登場【オールカマー名勝負5選】 » ページ 2

Twin Turbo
第39回オールカマーを大逃げで制したツインターボ

②1993年(勝ち馬ツインターボ)

 オグリキャップの復活勝利から4年が経った1993年のオールカマーである。この年の注目は、ライスシャワーだった。

 前年の菊花賞でミホノブルボンの3冠達成を阻止してG1初制覇を飾り、5歳(現4歳)シーズンに入ってからは天皇賞(春)でメジロマックイーンの3連覇を阻止して2つ目のG1タイトルを獲得した。その天皇賞(春)以来となる秋初戦として、オールカマーに出走しており、単勝1.8倍という断然の1番人気に支持されていた。

 2番人気は桜花賞馬シスタートウショウである。屈腱炎により1年7カ月という長いブランクがありながら、同年の安田記念で4着に入るなど牡馬相手に互角の戦いを見せていた。

 3番人気は重賞2勝馬のツインターボだ。直前の七夕賞では、初めてコンビを組んだ逃げの名手中舘騎手に導かれ、大逃げからの4馬身差快勝。展開面からも注目の1頭となっていた。

 この3頭までが単勝10倍以下の人気に推されて発走を迎えた。

 レースは大方の予想通りツインターボの逃げとなった。しかも七夕賞以上に派手な大逃げとなり、後続をどんどんと引き離していく。2番手はポツンと追走する形でホワイトストーンが続き、ライスシャワーは好位を追走していたが、先頭のツインターボははるか前方にいた。ツインターボの逃げは軽快で、向正面ではホワイトストーンとの差を30馬身ほどにまで広げた。さすがに3角から鞍上の手は動いていたものの、15馬身ほどの差をつけたまま4角を回り、最後の直線へと向かった。

 直線に入った時にはもう、アクシデントさえなければ後続馬はノーチャンスの状況だった。最後の1ハロンはさすがに13秒かかったが、2着に5馬身のリードを保ったまま勝利した。2番手で追いかけていたホワイトストーンは終い伸びを欠き、それを交わした大井のハシルショウグンが2着。連れて伸びてきたライスシャワーはなんとか3着を確保した。

 勝ったツインターボは、鮮やかな逃げ切り勝ちで重賞3勝目を飾った。続く天皇賞(秋)では、ライスシャワー、ナイスネイチャに次ぐ3番人気の支持を集めたものの、早めに交わされる苦しい展開で最下位の17着に敗れた。

 ツインターボはその後、中央競馬で勝利を挙げることはできなかったが、他馬に警戒された中でも常に戦法を変えず、大逃げを貫いた。このオールカマーから30年以上が経った今でも、大逃げの代名詞といえばツインターボが出てくるほど、ファンの脳裏に焼き付いて離れない鮮やかな勝利であった。

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