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2013年阪神JFを制したレッドリヴェール
2013年阪神JFを制したレッドリヴェール

③2014年 レッドリヴェール

父:ステイゴールド
母:ディソサード
生年月日:2011年2月19日
毛色:黒鹿毛
調教師:須貝尚介(栗東)

 ウオッカの栄光から7年。ダービーに挑戦する牝馬が現れた。レッドリヴェールはダービー出走時の馬体重410キロ。記録に残る限り、ダービーに挑戦したもっとも小さな牝馬だった。母ディソサードは父ディキシーランドバンドの米国産馬であり、産駒はどちらかというと大型馬が多い。レッドリヴェールの小さな馬体はおそらく父ステイゴールド譲りだろう。負けん気が強く、強い闘争心を宿した父は430キロ台の馬体で多くのGⅠで好勝負を演じてきた。そんな父の影響が色濃いレッドリヴェールは新馬から3連勝でGⅠ馬になった。

 札幌2歳Sは連続開催終盤の不良馬場の函館と、非常に過酷な条件で行われた。自らまくっていき、上がり600m41.3で差し切りと、牝馬とは思えぬ勝負根性を発揮した。続く阪神ジュベナイルフィリーズでは世代ナンバー1のハープスターと最後は競り合いを演じ、ハナ差退けるなど根性の塊のような走りを披露した。

 その後、休養を入れ、春は桜花賞直行。小さな馬体を考慮したローテーションで挑むも、結果は2着。ハープスターの豪快な末脚に屈した。レース後、陣営はダービー出走を表明。ハープスターとの対決を避けるというより、少しでも出走間隔をとりたかったのではないか。

 馬体重はデビュー戦424キロから6キロ減り、418キロ。増えないことがネックとなりつつあった。鞍上に牝馬のエスコートに定評がある福永祐一騎手を迎え、皐月賞馬イスラボニータ、2着トゥザワールド、4着ワンアンドオンリーに次ぐ4番人気に支持された。だが、ダービー出走時の馬体重は8キロ減り、410キロとキャリア最低最重を記録した。ダービー挑戦にあたり研ぎ澄ませた効果もあるが、はじめての関東遠征も響いた。レースは後方から進め、最後も反応できず、12着に終わったが、小さな体に宿る勝負根性で道を切り拓く姿と果敢なる挑戦は印象的だった。

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