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アイビスSDのレコードホルダー・カルストンライトオ
アイビスSDのレコードホルダー・カルストンライトオ

②カルストンライトオ

父:ウォーニング
母:オオシマルチア
生年月日:1998年5月3日
性別:牡馬
毛色:黒鹿毛
調教師:大根田裕(栗東)
戦績:36戦9勝 [9-4-7-16]

 2025年現在でも新潟芝1000m直線のレコードを保持しているカルストンライトオ。彼は3歳時からその片鱗を覗かせながら、古馬になって一気にその才能を開花させた快速馬だ。

 デビュー戦は2歳の11月で、ここを逃げて快勝。続くかえで賞も制し、無敗で暮れのG1・朝日杯フューチュリティステークスに駒を進めた。だが、ここまで1200m戦のみの経験だった同馬にとって、初のマイルはやや距離も長かったか、直線で後続に捕まり10着。以後は短距離重賞を中心にローテーションを組んでいくが、中間の怪我などもあり重賞勝ちは達成できないまま、4歳の夏を迎えた。

 しかし、この時期に出走したアイビスサマーダッシュが、カルストンライトオの転機となる。8枠12番から好スタートを決めた彼は、後続をグングン突き放して53秒7という驚愕のレコードタイムで新潟の直線を駆け抜けてみせたのだ。しかも当時の同レースは、開幕週に行われている近年とは違い、開催が進んだ6週目に施行されていた。荒れ始めている芝でここまでの時計を叩き出し、なおかつその記録は20年以上の時が流れた2025年7月現在でも破られていないのだから、かなりの価値があるといっていいだろう。

 そして2年後、再びアイビスサマーダッシュを制したカルストンライトオは、勢いそのままにスプリンターズステークスに出走。前年の覇者であるデュランダルや、香港のケープオブグッドホープなど国内外から強豪が揃っていたこのレースで、カルストンライトオは逃げに逃げた。不良馬場をものともせずに33.6秒というハイペースでかっ飛ばした彼は、直線へ入るとさらにその差を広げて独走態勢。2着のデュランダルに4馬身の差をつけて、31戦目で見事にG1制覇を成し遂げた。

 結果的にこれが生涯最後の勝利となったが、翌年のスプリンターズステークスでも直線に向いた瞬間に後続を突き放し、一瞬夢を見せてくれたカルストンライトオ。果たして今後、彼以上の速さで一直線にターフを駆け抜ける馬は現れるのか、新潟の千直には注目だ。

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