⑤嘉應高昇(カーインライジング)
生年月日:2018年3月18日
毛色:鹿毛
父:Shamexpress
調教師:D.ヘイズ
産地:ニュージーランド
通算成績:15戦13勝[13-2-0-0](2025年6月25日現在)
主な勝ち鞍:2024香港スプリント、2025チェアマンズスプリントプライズ
ロマンチックウォリアーが1度目の香港Cを勝利する直前の、2023年12月。そのタイミングでデビューを果たしたのが、カーインライジング。デビュー勝ちを果たした後は、2戦連続で2着と足踏みしたが、そこから連勝街道を突き進む。
初めて香港一線級と戦うこととなったジョッキークラブスプリントでは、単勝1.1倍の支持に応えて勝利。後続を3馬身以上引き離し、短距離戦としては圧倒的な差をつけた。続く香港スプリントでは、地元の大将格として日本馬3頭を迎え撃ち、きっちり勝利。2着馬との着差は半馬身であったが、番手から抜け出す横綱相撲で着差以上の強さを見せつけた。
その後も地元に敵なしといった走りで連勝を伸ばし、チェアマンズスプリントでは、高松宮記念を制して日本のトップスプリンターとなったサトノレーヴと再戦。好位の外めから抜け出すと、ラスト50mは完全に流す余裕を見せながら快勝。日本のチャンピオンをアッサリと返り討ちにし、デビュー4戦目から続いている連勝を12まで伸ばした。
これまでの名馬と比較しても余裕のある勝ちっぷりで、短距離戦であるにも関わらず、スタートから強く押すことなくとも好ポジションが取れるのは大きなセールスポイント。追っての反応も実に早く、最後は余裕を持っての勝利が多い印象だ。これから5歳シーズンを迎えることとなるが、現在12まで伸びている連勝がどこまで続くかにも注目が集まる。
今後のローテーションとしては、豪州のジ・エベレストを目指すという情報が出てきている。それが実現となれば、これまで全てシャティンで走ってきたカーインライジングにとって初の海外でのレースとなる。その走りを豪州で見せた後には、翌年以降の高松宮記念やスプリンターズSでの日本遠征もあるのではないかと期待してしまう。いずれにしても、歴代の香港最強馬たちに並んで超えていく存在になれるのか、楽しみに見ていきたい馬である。
このように、アジアの中では日本と双璧をなす競馬大国である香港だが、競走馬の生産は行われていない。そのため、香港で走っている競走馬はほとんど欧州やオセアニアから輸入しており、これだけの成績を残した前述5頭も全てセン馬である。これだけ優秀な馬の血を次の世代に引き継げないのは残念な気もするが、セン馬であることで競走能力を100%引き出しているとも考えられる。今後もアジアの競馬大国同士として、ホーム&アウェーで日本馬と香港馬がしのぎを削っていってほしいものである。
【了】
(文●中西友馬)