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2018年6月3日/2歳新馬を制したグランアレグリア
2018年6月3日/2歳新馬を制したグランアレグリア

③グランアレグリア

父:ディープインパクト
母:タピッツフライ
生年月日:2016年1月24日
性別:牝馬
毛色:鹿毛
調教師:藤沢和雄(美浦)

 ダービー翌週の東京開催で新馬戦が行われるようになったのは2012年からである。それ以降、イスラボニータやメジャーエンブレムなど、6月の東京でデビューしてG1を制する名馬が多く誕生している。その中でも2018年6月3日に東京競馬場でデビューしたグランアレグリアは、この時期にデビューした馬の中でも、トップクラスに活躍した馬といえるだろう。

 芝の1600mで行われたこのレースで、グランアレグリアは好位3番手から鋭く抜け出し、2着のダノンファンタジーに2馬身差をつける快勝劇を見せる。そのタイムは1分33秒6で、これまでアプリコットフィズが保持していた2歳新馬戦のレコードを1秒1も更新する時計を叩き出した。

 何より恐ろしいのが、グランアレグリアが最後の600mで繰り出した末脚。彼女が刻んだ上り3F・33.5秒という数字の内訳は11.3-11.1-11.2だったが、同日の安田記念を制したモズアスコットが同じ地点から記録した上り3F・33.3秒の内訳は11.4-11.4-11.7というもの。彼女は2歳の時点で、既に古馬のG1馬に匹敵する驚異的な上り3Fを叩き出していた。

 2着のダノンファンタジーはこの年の最優秀2歳牝馬に輝き、グランアレグリアは朝日杯フューチュリティステークスに挑戦して3着。これによって一時は評価がひっくり返ったが、翌年の桜花賞で再戦となった際にグランアレグリアが勝利し、その強さを我々にもう一度見せつけた。そして古馬となった後も短距離からマイルを中心にG1を5勝。スプリンターズSでは、直線入り口で後方2番手という厳しい位置から、前を行く14頭を全て交わし去る異次元の末脚を見せ、競馬ファンの度肝を抜いた。だが、今思えば新馬戦の時点で、グランアレグリアはその実力の片鱗を私たちに見せてくれていたのかもしれない。

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