タイトルホルダー ~名は体を表す。3つのG1タイトルとレコードを持つ逃げ上手の優等生〜
タイトルホルダー(Titleholder)
菊花賞・天皇賞(春)・宝塚記念制覇などG1・3勝のステイヤー。タイトルホルダーが見せる積極的な逃げは多くの競馬ファンの心を掴んだ。コースレコード更新や7馬身差の圧勝など、タイトルホルダーのキャリアを振り返る。
プロフィール
性別 | 牡馬 | |
父 | ドゥラメンテ | |
母 | メーヴェ | |
生年月日 | 2018年2月10日 | |
馬主 | 山田弘 | |
調教師 | 栗田徹 | |
生産牧場 | 岡田スタッド | |
通算成績 | 19戦7勝【7-3-1-8】 | |
獲得賞金 | 10億6875万円 | |
主な勝ち鞍 |
天皇賞(春)(2022年) 宝塚記念(2022年) 菊花賞(2021年) |
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受賞歴 | 最優秀4歳以上牡馬(2022年) | |
産駒成績 | 産駒デビュー年:2027年(予定) | |
通算重賞勝利数:0勝 | ||
通算G1勝利数:0勝 | ||
代表産駒 | なし |
3つのG1タイトル+レコードホルダー
タイトルホルダーは、2020年10月に中山競馬場でデビューした。父はダービー馬ドゥラメンテ、母は芝長期離でOP勝ちのあるメーヴェで、2つ上の半姉には、350キロに満たない小柄な馬体で菊花賞で5着に健闘したメロディーレーンのいる血統であった。レースはハナを切ると、1000m通過63秒台のスローペースに落として逃げ切って、初勝利を挙げた。
2戦目は出世レースとされる東スポ杯2歳Sに出走した。離れた2番手から直線でもしぶとく伸びてダノンザキッドの2着とし、賞金加算に成功した。3戦目はG1ホープフルSに出走。ここでもダノンザキッドに屈して4着となるも、世代トップクラスの能力があることは確認できる一戦となった。
年が明けて3歳となったタイトルホルダーは、皐月賞トライアルの弥生賞ディープインパクト記念から始動した。前2走で敗れているダノンザキッドが単勝1.3倍という断然人気に推されていたが、新馬戦以来の逃げの手に出ると後続を完封。重賞初制覇を果たした。
そして迎えた牡馬3冠第1戦の皐月賞。トライアルを勝ったにも関わらず単勝8番人気と低評価であったが、早め先頭からエフフォーリアの2着に粘り込んだ。続く牡馬3冠第2戦の東京優駿(ダービー)では、早めに動いた馬がいたことによってチグハグな競馬となり、6着に敗れた。
夏を経て、秋初戦のセントライト記念は揉まれる競馬となってしまい、13着に大敗。牡馬3冠最後の菊花賞に向かうこととなる。京都競馬場の改修工事によって阪神競馬場で行われた菊花賞には、皐月賞を制したエフフォーリア、ダービーを制したシャフリヤールの名前はなかった。レースは前走の失敗を生かした横山武史騎手によって逃げの手に出ると、直線では後続を引き離して5馬身差の圧勝。G1初制覇を果たすと同時に、父のドゥラメンテに産駒初のG1タイトルをもたらした。
次走は古馬との初対戦となる有馬記念。G1勝利をもたらした横山武史騎手はエフフォーリアへと騎乗するため、以後主戦となる兄の横山和生騎手が騎乗してのレースとなった。徹底先行型のパンサラッサがいたため2番手からレースを進めるも、直線は伸び切れず5着に終わった。
年が明けて4歳となったタイトルホルダーは、年明けすぐに脚部不安が発表されたが、回復は早く、日経賞から始動した。調整が遅れて本調子ではなかったが、後続をクビ差しのいで逃げ切ってみせた。
そして迎えた、阪神競馬場で行われた天皇賞(春)。ここでもハナを切ると、ディープボンド以下を7馬身突き放しての圧勝。横山和生騎手にG1初制覇をプレゼントした。
続く宝塚記念には、再びパンサラッサが出走。有馬記念同様に2番手からの競馬となるが、パンサラッサの刻むハイラップをあっさり抜け出し、コースレコードで2馬身差の快勝。初めて番手からの競馬で勝利した。
夏を経て、秋は前哨戦を使わず凱旋門賞に出走した。ドウデュース、ディープボンド、ステイフーリッシュとともに日本馬4頭で挑み、日本でのレースと同じく果敢にハナを切ったが、直線では失速。11着に敗れた。
帰国後は有馬記念に出走したが、ここでも直線失速し9着となって、4歳シーズンを終えた。
年が明けて、再び日経賞から始動すると、後続を8馬身ちぎって連覇を達成。さらに、こちらも連覇も目指し、天皇賞(春)に出走する。単勝1.7倍の1番人気に推されたが、3コーナー辺りからズルズルと後退し、競走中止となってしまった。幸い大きな怪我にはならなかったが、協議の結果、連覇のかかる宝塚記念は使わず、春は全休することが決まった。
秋に戦線復帰後は、オールカマー2着、ジャパンカップ5着、有馬記念3着と勝利こそなかったが、引退レースとなった有馬記念では、タイトルホルダーらしさの戻った積極的な逃げでファンを湧かせた。
有馬記念当日の全レース終了後に、中山競馬場にて引退式が行われ、ターフに別れを告げたタイトルホルダー。
2024年からの種牡馬入りが発表され、早ければ2027年に産駒がデビューする。
(文●中西友馬)