⑤ミュージアムマイル
父:リオンディーズ
母:ミュージアムヒル
生年月日:2022年1月10日
性別:牡馬
毛色:黒鹿毛
調教師:高柳大輔(栗東)
2025年の皐月賞では、のちに日本ダービーを制するクロワデュノールを下して勝利。見事にクラシックタイトルを手にし、一強だと思われていたこの年の牡馬クラシック戦線の下馬評をひっくり返す大金星であった。
今回取り上げた馬たちのなかで、ミュージアムマイルは唯一Hail to Reasonのクロスを内包していない。だが、デアリングタクトやブローザホーン同様、Northern Dancerの5×5はしっかりインブリードの中に含まれている。そしてこの組み合わせも、Sadler’s Wellsとノーザンテーストという、前に取り上げた2頭とは異なるものだ。
欧州型のSadler’s Wellsの血に、成長力のあるノーザンテーストが掛け合わされ、更に瞬発力をサンデーサイレンスの奇跡の血量で補完するという形がとられているミュージアムマイル。デビューからの7戦全てで上り3F・3位以内の末脚を繰り出していることからも、瞬発力に秀でていることがわかる。やや馬場が荒れていた弥生賞は4着だったが、それでも上り3Fはメンバー中3位だったあたり、道悪馬場が完全に不得意というわけでもなさそうだ。
加えて、新馬戦や休み明け初戦の弥生賞で負けながら、叩き2戦目となる未勝利戦や皐月賞ではしっかり結果を残しており、使われて良化するノーザンテーストの血がうまく作用しているとも取れるのではないか。
もし、このクロスに母の父であるハーツクライが持つ成長力がうまく作用すれば、すでにG1を制している同馬が、秋以降により一層成長を遂げる可能性もあるといえるのではないだろうか。2025年6月現在ではダービーを終えたばかりで次走なども未定だが、もしかしたら夏を超えてさらに強くなったミュージアムマイルが、秋には見られるかもしれない。
【了】
(文●小早川涼風)
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