【サンデーサイレンス奇跡の血量 5選】絶大な影響力!脈々と受け継がれるスーパーサイアーの血
競走馬の血統には、偶然とは思えないほど劇的な能力の継承が存在する。「奇跡の血量」と呼ばれるインブリードもそのひとつだろう。今回は、サンデーサイレンスの奇跡の血量を持っており、さらにエピファネイアまたはリオンディーズを父に持つGⅠ馬から5頭ピックアップ。血統表を見ながら特徴をじっくりと紹介する。
奇跡の血量とは?
インブリード(近親交配)の際に使われる言葉で、3代前と4代前に同一の馬が存在することで発生するクロスのことを「奇跡の血量」と呼ぶ。日本ではトキノミノルの活躍がこの血統理論に着目されたきっかけといわれており、近年でもオルフェーヴルやレイデオロなど、奇跡の血量を持つ名馬は多い。
①デアリングタクト
父:エピファネイア
母:デアリングバード
生年月日:2017年4月15日
性別:牝馬
毛色:青鹿毛
調教師:杉山晴紀(栗東)
2020年、無敗で牝馬三冠を達成。これは史上初の偉業だったが、翌週にコントレイルが無敗で牡馬三冠を成し遂げたことにより、2週連続で無敗の三冠馬が誕生するという快挙となった。コロナ禍にあった当時、2頭の走りに勇気をもらったという人もいるのではないだろうか。
そんなデアリングタクトが、サンデーサイレンスの奇跡の血量以外に内包しているインブリードはHail to ReasonとNorthern Dancerの5×5。このうち、Hail to Reasonのクロスは当項で取り上げる5頭中4頭がこのクロスを保持している。速力を高める効果が期待できるとされている同インブリードは、瞬発力に勝るサンデーサイレンスの奇跡の血量には相性抜群ということなのだろうか。
そしてもう一つのクロスであるNorthern Dancerのインブリードに着目すると、血統内で彼の血を引く直系の種牡馬は重めの馬場をこなせるSadler’s Wellsとスピードに秀でたDanzig。両者の血を引くデアリングタクトが、荒れた馬場で開催された金鯱賞においても、速い上がりを使って後方から追い込めたのは、この血に起因するものかもしれない。
すでにデアリングタクトは現役を引退し、ベンバトルとの間に牡馬の初仔をもうけている。その血統構成はサンデーサイレンスの5×4に、速力型のMr.Prospectorの5×5というインブリード。果たして、母の強みである瞬発力に、スピードに富んだMr.Prospectorのクロスが合わさったことがどのような作用をもたらすだろうか。