ソダシ 〜「白毛は走らない」という常識を覆した奇跡のアイドルホース〜
ソダシ(Sodashi)
真っ白な馬体で競馬ファンを魅了した史上初の白毛G1馬。デビューから5連勝で桜花賞制覇の快挙を達成し、父と同様に芝・ダート両方でG1級の実力を示した。ソダシの活躍で白毛馬の可能性は大きく広がったといえる。日本競馬史に残るアイドルホースの強さと美しさを振り返る。
プロフィール
性別 | 牝馬 | |
父 | クロフネ | |
母 | ブチコ | |
生年月日 | 2018年3月8日 | |
馬主 | 金子真人ホールディングス | |
調教師 | 須貝尚介 | |
生産牧場 | ノーザンファーム | |
通算成績 | 16戦7勝【7-2-2-5】 | |
獲得賞金 | 6億2923万円 | |
主な勝ち鞍 |
ヴィクトリアマイル(2022年) 桜花賞(2021年) 阪神JF(2020年) |
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受賞歴 |
最優秀3歳牝馬(2021年) 最優秀2歳牝馬(2020年) |
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産駒成績 | 産駒デビュー年:2027年(予定) | |
通算重賞勝利数:0勝 | ||
通算G1勝利数:0勝 | ||
代表産駒 | 特になし |
強さも兼ね備えた純白のアイドル
ソダシは、2020年の7月に函館競馬場でデビューした。父は芝・ダート両方でG1勝ちのあるクロフネ、母はブチのある白毛のアイドルホースとして人気のあったブチコで、ソダシは同じ白毛でも真っ白な馬体が印象的であった。レースは、2番手追走から抜け出すと、後続に差を詰めさせずに2馬身半差の勝利。デビュー勝ちを飾った。
2戦目は札幌2歳S。好位追走から、まくってきた後のオークス馬ユーバーレーベンに合わせて4角で先頭に立つと、最後までユーバーレーベンを前に出さず、2歳コースレコードでの勝利。重賞初制覇を飾るとともに、白毛馬初の芝重賞制覇も果たした。
3戦目はアルテミスS。前2戦は時計のかかる洋芝での勝利であったため、上がりの速い東京コースを不安視する声もあったが、2番手追走から33秒台の上がりを使って後続をシャットアウト。文句なしの内容で重賞連勝とした。
そして迎えた阪神JF。同じく連勝で迎えたサトノレイナス、メイケイエールとの無敗対決に注目の集まった一戦は、無敗馬3頭+札幌2歳Sで2着だったユーバーレーベンを含めた4頭の争いとなり、外から一旦抜け出したように見えたメイケイエールの脚いろが鈍ったところを内から捉えたソダシとサトノレイナスが並んで入線。ハナ差制したソダシが連勝を4に伸ばし、G1初制覇を果たした。これは同時に、史上初となる白毛馬がG1を勝利した瞬間でもあった。
年が明けて、ソダシの次走は牝馬3冠第1戦となる桜花賞直行となった。同じく桜花賞直行となったサトノレイナスと人気を分けあった一戦は、3番手から抜け出したソダシに、後方から外に出したサトノレイナスがゴール前猛追。これをクビ差振り切ったソダシが、コースレコードを更新して、最初の1冠を手中に収めた。続く牝馬3冠第2戦の優駿牝馬。ライバルのサトノレイナスがダービーに出走を決めたこともあり、単勝1.9倍の断然人気に推されていた。これまでと同じく好位からレースを進めるも、距離の影響なのか直線は伸びを欠いた。ユーバーレーベンの8着に敗れ、デビューからの連勝は5でストップした。
一息つき出走した札幌記念は、初の古馬相手のレースとなった。得意の洋芝で52キロという軽量の恩恵があったとはいえ、3角先頭から押し切る強い内容で2000mを克服しての勝利。
そして迎えた牝馬3冠第3戦の秋華賞。2番手の絶好位を確保したように見えたが、直線伸びを欠いて10着に敗れた。
次走は、初ダートとなるチャンピオンズCに向かうことが発表された。母がダートで活躍していたことに加え、父もダートG1を制しているということで適性を見込まれての挑戦であった。砂を被ったときの不安から果敢にハナを切るも、末を欠いて12着に敗れた。
年が明けて4歳となったソダシは、フェブラリーSで再びダートに挑戦。ダート2戦目に加えて、雨により締まった馬場が良かったのか3着に健闘。ダートでもトップクラスの力があるところを見せた。
そして迎えたヴィクトリアマイル。好位からレースを進めると、逃げたローザノワールと2番手のレシステンシアの間を突き抜けて、2馬身差の快勝。3つ目のG1タイトルを獲得した。その後、連覇を目指した札幌記念で5着に敗れると、府中牝馬Sで2着、マイルCSで3着と、安定した成績を残すも勝ち切れないレースが続いて4歳シーズンを終えた。
年が明けて5歳となったソダシは、ヴィクトリアマイルから安田記念のローテーションとなり、デビューからコンビを組んできた吉田隼人騎手とのコンビを解消。ヴィクトリアマイルはレーン騎手、安田記念は川田騎手の騎乗となったが、ヴィクトリアマイル2着、安田記念7着と、トップマイラーに上り詰めたソングラインに連敗。その後脚部不安を発症したこともあり、現役引退が発表された。
現在は繁殖牝馬となり、初年度の交配相手はイクイノックスと判明している。なんとか無事に白毛の系譜を受け継いでいってもらいたいものだ。
【了】
(文●中西友馬)