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ゼンノロブロイ 〜あの秋、確かに君は一番強かった。偉大な先輩を追って達成した秋古馬三冠~

text by 中西友馬

ゼンノロブロイ(Zenno Rob Roy)

この馬の真価は4歳の秋だった。世紀末覇王ことテイエムオペラオー以来となる秋古馬三冠を達成。有馬記念では、同厩舎のひとつ上の先輩であるシンボリクリスエスが達成したレコードを更新した。18世紀のスコットランドの英雄から名をとった名馬の軌跡を振り返る。

Zenno Rob Roy

プロフィール

性別 牡馬
サンデーサイレンス
ローミンレイチェル
生年月日 2000年3月27日
馬主 大迫忍→大迫久美子
調教師 藤沢和雄
生産牧場 白老ファーム
通算成績 20戦7勝【7-6-4-3】
獲得賞金 11億1560万円
主な勝ち鞍 天皇賞(秋)(2004年)
ジャパンカップ(2004年)
有馬記念(2004年)
受賞歴 JRA賞年度代表馬(2004年)
最優秀4歳牡馬(2004年)
産駒成績 産駒デビュー年:2009年
通算重賞勝利数:21勝
通算G1勝利数:1勝
代表産駒 サンテミリオン(2010年優駿牝馬)

真価を発揮した4歳秋の伝説

 ゼンノロブロイは、2003年2月に中山競馬場でデビューした。2歳の夏から新馬戦が始まる中、3歳の2月に初戦を迎えるという遅めのデビューとなった。父は大種牡馬サンデーサイレンス、母は米ダートでG1を勝っているローミンレイチェルという、良血馬であった。道中は後方からレースを進めると、上がり最速の脚でまとめて差し切って快勝。デビュー勝ちを収めた。

 続くすみれSは、後の重賞馬である2頭、リンカーンとクラフトワークに屈して3着となるも、自己条件の山吹賞を勝って2勝目を挙げた。

 四戦目は重賞初挑戦となった、ダービートライアルの青葉賞。既に重賞を勝っているタカラシャーディーや、すみれSで先着を許しているクラフトワークらを抑えて、1番人気の支持を受けていた。そしてレースでも好位から抜け出して勝利。ダービーへの切符を掴み取った。

 そして迎えた東京優駿(日本ダービー)。ゼンノロブロイは、皐月賞馬ネオユニヴァースと皐月賞2着馬サクラプレジデントに次ぐ3番人気の支持を受けていた。離れた2番手追走から、直線で馬場の良い外に出して伸びるも、その内を追い込んできたネオユニヴァースに交わされての2着。青葉賞勝ち→ダービー2着というのは、くしくも前年の同厩シンボリクリスエスと同じであった。

 夏を経て、神戸新聞杯でネオユニヴァースに雪辱を果たして快勝するも、続く菊花賞では4着に敗れた。そして有馬記念では前述したシンボリクリスエスから9馬身+3/4馬身離された3着となり、3歳シーズンを終えた。

 年が明けて4歳となったゼンノロブロイは、日経賞から始動する。単勝1.1倍の断然人気に推されるも、ウィンジェネラーレの逃げ切りを許して2着。続く天皇賞(春)ではイングランディーレの逃げ切りを許して2着。宝塚記念でも4着に敗れ、なかなか勝ち切れないレースが続いた。

 秋は京都大賞典でも単勝1.4倍の断然人気に応えられず2着。1年以上勝利から遠ざかった状況で、天皇賞(秋)を迎える。神戸新聞杯以来のペリエ騎手とのコンビで、先に抜け出した同厩ダンスインザムードを差し切って勝利。G1初制覇を飾った。続くジャパンカップでも、残り300m辺りで先頭に立つと、後続に3馬身差をつける快勝でG1を連勝。

 そして迎えた、年末の有馬記念。再内枠から2番手のインに収まると、直線では逃げるタップダンスシチーを射程圏内に入れ、最後はきっちりと半馬身交わして勝利。勝ちタイムの2分29秒5は、前年にシンボリクリスエスが記録した2分30秒5のコースレコードを更新しただけでなく、日本レコードとなった。そして秋古馬3冠達成は、テイエムオペラオー以来史上2頭目の快挙であった。

 年が明けて5歳となったゼンノロブロイは、春を全休して宝塚記念から始動した。その宝塚記念は直線での不利もあり3着に敗れたが、次走は初の海外遠征となる、英インターナショナルSに挑戦することとなった。最後はエレクトロキューショニストの末脚に屈したが、直線で一旦先頭に立つなど見せ場十分の2着であった。
帰国後の秋3戦は、天皇賞(秋)2着、ジャパンカップ3着、有馬記念8着といずれのレースも連覇を達成することはできず、現役を引退した。

 翌年から種牡馬生活がスタート。初年度産駒のサンテミリオンが優駿牝馬(オークス)を制し、自身には縁がなかったクラシック制覇を果たした。2022年に天国へと旅立ち、現役の産駒も少なくなってきたが、母の父としてゼンノロブロイの名を見かけることも増えてきている。

(文●中西友馬)

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