ステイゴールド ~シルバーコレクターから伝説の種牡馬へ。永遠の輝きを放つ“黄金旅程”~
ステイゴールド(Stay Gold)
ステイゴールド。競馬ファンに最も愛され続ける馬の名だ。現役時代の感動的なラスト、種牡馬としては“三冠馬”オルフェーヴルや“曲者”ゴールドシップ、“障害レース史上最強馬”オジュウチョウサンなど癖のある子どもたちを輩出し続けたからだ。今回はそんな名馬の旅路を振り返ろう。
プロフィール
性別 | 牡馬 | |
父 | サンデーサイレンス | |
母 | ゴールデンサッシュ | |
生年月日 | 1994年3月24日 | |
馬主 | 社台レースホース | |
調教師 | 池江泰郎 | |
生産牧場 | 白老ファーム | |
通算成績 | 50戦7勝【7-12-8-23】 | |
獲得賞金 | 7億6299万円 | |
主な勝ち鞍 |
香港ヴァーズ(2001年) |
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受賞歴 | JRA賞特別賞(2001年) | |
産駒成績 | 産駒デビュー年:2005年 | |
通算重賞勝利数:116勝 | ||
通算G1勝利数:33勝 | ||
代表産駒 | オルフェーヴル(2011年牡馬3冠) ゴールドシップ(2013、2014年宝塚記念) オジュウチョウサン(2016〜2020年中山GJ) |
ポテンシャルを血で証明した伝説の種牡馬
現役時代のステイゴールドのイメージとしては、馬名とは真逆の、「シルバーコレクター」や「ブロンズコレクター」という印象を抱いている人が多いことだろう。
実際、4歳(現3歳)9月に900万下(現2勝クラス)を勝利してから、7歳(現6歳)5月に重賞初制覇を果たした目黒記念まで、2年8ヶ月以上勝利がなく28連敗を喫していた。その間に2着は10回、3着は7回を数え、G1であと一歩の競馬を続けていながら、重賞さえ未勝利という稀有なタイプの馬であった。
しかし目黒記念で連敗を28で止めると、翌年は日経新春杯とドバイシーマクラシックを連勝する。そして通算50戦目、引退レースとなった香港ヴァーズでG1初制覇を果たした。まさにドラマや映画を超えるような、ドラマチックな形で引退を迎えるわけだ。
ステイゴールドのすごいところは、デビューから引退まで、一度も3ヶ月半以上の休養を挟まずに50戦を走り切った点にある。これだけコンスタントにレースを使っているにもかかわらず大きなケガもなく、重賞やG1で常に好勝負を演じる。生涯G1出走回数20回、重賞連続出走回数36回はいずれもJRA記録で、まさに「無事是名馬」を地でいくような馬であった。
しかし、現役時代の実績で言えば、国際G1を制したとは言え、G1タイトルはひとつだけ。2学年下のテイエムオペラオーには、12戦して0勝12敗と一度も先着できなかった。
そんなステイゴールドの評価を一気に高めたのが、種牡馬となってからの活躍であった。サンデーサイレンス産駒ながら、現役時代の実績から150万円と比較的安価な種付け金額となったことにより、初年度から177頭もの種付け頭数が集まり、初年度産駒から重賞馬を4頭輩出。さらに、2世代目のドリームジャーニーがG1初制覇を果たすなど産駒の活躍が続き、ステイゴールドの種牡馬としての価値はどんどん高まっていった。
そして、ついに代表産駒となるオルフェーヴルが誕生する。3冠を含むG1タイトルを6つ獲得し、凱旋門賞でも2年連続で2着。現役時代に28連敗を喫していた馬が、歴史的名馬の父にまで上り詰めたのであった。
オルフェーヴルを筆頭に、ゴールドシップやナカヤマフェスタなど後継種牡馬も多数おり、ステイゴールド系と呼ばれるサイアーラインも確立。これからも長きにわたって、血統表にステイゴールドの名前を目にすることになるだろう。
(文●中西友馬)