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地方馬も善戦するダート短距離戦。連覇を達成したノブワイルドなど【テレ玉杯オーバルスプリント 5選】

text by 中西友馬

1991年にテレビ埼玉杯として始まり、2008年に現名称へ変更。現在は「テレ玉杯オーバルスプリント」というレース名となり、浦和競馬場のダート1400mで9月に行われている。そんなオーバルスプリントの歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。

Saint Memory
第35回 サンタアニタトロフィーを制したときのセイントメモリー

①2013年(勝ち馬セイントメモリー)

 最初に取り上げるのは、Jpn3格付け初年度となった、2013年のオーバルスプリント。JRAとの交流競走となった2011年からJRA勢が連勝していたこともあり、この年の上位人気もJRA勢が占めていた。

 1番人気は4歳馬のガンジス。重賞は未だ未勝利であったが、交流重賞も含めると2着が3回とあと一歩まで迫っていた。54キロという斤量も魅力で、単勝1.8倍という支持を集めていた。

 2番人気は2頭が分け合う形。前走のサマーチャンピオンでガンジスに勝利して重賞初制覇を飾ったエーシンウィズンと、前年のJBCスプリント覇者で59キロを背負うタイセイレジェンド。ともに6歳馬の2頭が単勝3.6倍で並んで2番人気となり、発走を迎えた。

 レースは、セイントメモリーが押して先手を主張するも、大外枠から勢いよく飛び出したエーブダッチマンがハナを切る。セイントメモリーは2番手となり、その直後にタイセイレジェンドという並び。ガンジスとエーシンウィズンは並ぶようにして、好位の後ろから進めていた。レースが動いたのは向正面。逃げるエーブダッチマンが早くも苦しくなり、セイントメモリーが途中からハナを切る形となる。続いてタイセイレジェンドも2番手に浮上し、エーシンウェズンやガンジスといったあたりも連れて上がってくる。前は2頭がほとんど並んで4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、手ごたえ優勢なセイントメモリーがタイセイレジェンドを突き放しにかかる。4キロの斤量差が響く形でタイセイレジェンドは苦しくなり、後方からJRA勢を交わして上がってきたジョーメテオが2番手にも迫る勢い。最後は2馬身の差をつけたセイントメモリーが快勝。2着には粘り込んだタイセイレジェンドが入り、そこから1馬身半差の3着にジョーメテオとなった。

 勝ったセイントメモリーは、交流重賞初挑戦で初制覇。続くJBCスプリントでもJRA勢に食らいつき、地方馬最先着の5着と健闘を見せた。

 現役引退後は大井競馬場で誘導馬をつとめ、2024年7月に天国へと旅立った後に大井競馬場に設置された献花台には、多くのファンが駆けつけた。

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