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2022年エリザベス女王杯でウインマリリンに騎乗し2着となったレーン騎手
写真は2022年エリザベス女王杯でウインマリリンに騎乗するレーン騎手

③2022年 香港ヴァーズ(勝ち馬ウインマリリン)

 レーン騎手が鮮烈な日本デビューを飾ってから3年が経った、2022年。それまで来日時の身元引受厩舎は堀厩舎であったが、2022年秋は手塚厩舎へと変更になっていた。

 その影響もあってコンビを組むこととなったのが、手塚厩舎所属のウインマリリン。エリザベス女王杯で初コンビを組むと、ジェラルディーナの2着(同着)に好走。そして迎えたのが、香港ヴァーズであった。

 この年の香港ヴァーズには、ウインマリリンに加えて、2019年と2021年の香港ヴァーズ覇者であるグローリーヴェイズも参戦。その日本馬2頭に加えて、BCターフ2着の愛3歳馬ストーンエイジを含めた3頭が、上位人気を集めていた。

 レースは、地元香港のセニョールトーバがハナを切り、ストーンエイジは好位からの競馬。グローリーヴェイズは中団後ろのインコースを追走し、それを見る形となったウインマリリンは、後方2番手あたりから進めていた。ペースは見た目にはゆったりと流れているように見え、少頭数の馬群は一団。そのまま大きな動きはなく、ウインマリリンはほぼ最後方の位置どりとなって4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、逃げるセニョールトーバを2番手からボタニクが捕らえて先頭。その後ろから馬群をさばいて伸びてきたグローリーヴェイズが迫るが、その争いを大外からまとめて飲み込んだのがウインマリリン。残り150mで粘るボタニクを交わして先頭に立つと、1馬身半の差をつけて勝利。2着には早め先頭のボタニクが入り、クビ差の3着がグローリーヴェイズ。ストーンエイジは伸びを欠き、5着に敗れた。

 勝ったウインマリリンは、悲願のG1初制覇を香港の地で達成した。これまで好位からの競馬が多い馬であったが、今回は好発を切りながら後方に控える競馬。そこから大外一気でごぼう抜きを見せるという、今までのウインマリリンには見られなかった形で勝利を掴んだ。

 レース後に手塚師も「神騎乗」と手放しで褒め称えたレーン騎手の好判断が、見事にウインマリリンの新味を引き出したレースであった。

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