②2019年 有馬記念(勝ち馬リスグラシュー)
ノームコアで日本のG1初制覇を飾ったレーン騎手の勢いはとどまるところを知らず、その年の宝塚記念でも、初コンビを組んだリスグラシューをG1制覇に導いた。
さらにはその秋に、リスグラシューとのコンビ継続となった豪州のコックスプレートも制覇。これにより、同一馬での年内2勝をクリアし、同年の有馬記念でリスグラシューに騎乗できることとなった。
この年の有馬記念の注目は、なんといってもアーモンドアイ。前年の3冠牝馬で、すでにG1を6勝している女傑に人気が集中し、単勝オッズ1.5倍の1番人気に支持されていた。
少し離れた2番人気(単勝オッズ6.7倍)が、これが引退レースとなっていたリスグラシュー。そして3番人気(単勝オッズ7.8倍)に、同年のダービーでレーン騎手が騎乗した皐月賞馬、サートゥルナーリアが続いていた。
レースは、アエロリットがハナを切り、人気3頭はいずれも中団より後ろから。その中で一番前につけたのは、中団外めから進めたアーモンドアイ。そのすぐ後ろのインコースにリスグラシューはつけ、それを見る形でサートゥルナーリアという並び。前はアエロリットがヴィクトリアマイル同様に再びハイラップを刻む。
前半1000mの通過は推定58秒5前後で、後続を引き離す大逃げを打つ。さすがに早々と苦しくなって4角手前で馬群は一気に凝縮。アーモンドアイとサートゥルナーリアは外から、リスグラシューは内から前との差を詰め、4角を回って最後の直線へと向かう。
直線に入ると、アーモンドアイが先頭へと立とうとするが、その外からフィエールマン、さらにその外からサートゥルナーリアが一気に並びかけてくる。大激戦になるかと思われたが、その混戦を断ったのは、いつの間にかサートゥルナーリアの外へと持ち出していたリスグラシュー。
コーナーは内を回って直線で大外へと持ち出す思い切った騎乗を見せたこの馬が、残り150mあたりから一人旅。最後はガッツポーズを見せながら、5馬身差の圧勝劇。2着にサートゥルナーリアが入り、クビ差の3着でワールドプレミアが続いた。
勝ったリスグラシューは、宝塚記念、コックスプレートに続いて国内外のG1を3連勝。さらには牝馬として史上初となる、宝塚記念と有馬記念の両グランプリ制覇の偉業も達成し、有終の美を飾った。
そしてレーン騎手は、短期免許初年度から中央のG1を3勝。帝王賞のオメガパフュームとコックスプレートのリスグラシューを加えると、日本調教馬で年間のG1級5勝という鮮烈なデビューを飾った。