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ゴールドシップ 〜日本競馬史に残る“きまぐれ王”は引退後もファンに愛されつづける~

text by 中西友馬

ゴールドシップ(Gold Ship)

日本競馬史において、これほどファンをやきもきさせた馬はゴールドシップが一番かもしれない。皐月賞から天皇賞(春)まで、多彩な距離でG1を制したかと思えば、3連覇のかかった宝塚記念での事件……。などなど、ファンに愛され続ける芦毛の怪物の軌跡を振り返ろう。

Goldship

プロフィール

性別 牡馬
ステイゴールド
ポイントフラッグ
生年月日 2009年3月6日
馬主 小林英一ホールディングス
調教師 須貝尚介
生産牧場 出口牧場
通算成績 28戦13勝【13-3-2-10】
獲得賞金 13億9776万円
主な勝ち鞍 有馬記念(2012年)
天皇賞(春)(2015年)
宝塚記念(2013、2014年)
受賞歴 最優秀3歳牡馬(2012年)
産駒成績 産駒デビュー年:2019年
通算重賞勝利数:10勝
通算G1勝利数:2勝
代表産駒 ユーバーレーベン(2021年優駿牝馬)
マイネルグロン(2023年中山大障害)

芦毛の怪物は実力の伴った気分屋さん

 ゴールドシップは、2011年7月に函館競馬場でデビューした。父は3冠馬オルフェーヴルを輩出したステイゴールド、母は1勝馬ながら牝馬クラシックにも出走したポイントフラッグという血統であった。レースは後方からの競馬となるも徐々にポジションを上げると、前をきっちり捉えてデビュー勝ち。勝ち時計は2歳コースレコードのおまけつきであった。

 続くコスモス賞は、地方所属馬が半数以上を占めていたこともあり、単勝1.2倍の断然人気に支持されていた。人気に応えて好位から抜け出し、連勝を飾った。3戦目の札幌2歳Sで2着となると、続くラジオNIKKEI杯2歳Sでも2着となり、2歳シーズンを終えた。

 年が明けて、共同通信杯で重賞初制覇を飾り、牡馬3冠第1戦となる皐月賞へと出走する。道中は最後方からの競馬となるも、各馬が荒れた内を嫌って外に持ち出した3コーナーで内を突いて浮上すると、4コーナーでは一気に6番手まで浮上。荒れた馬場をものともせずに抜け出すと、2着のワールドエースに2馬身半差をつけての快勝。最初の1冠を獲得した。

 大一番の牡馬三冠第2戦の東京優駿(日本ダービー)。皐月賞と同じく後方からの競馬。直線は大外から脚を伸ばすも5着に終わった。

 夏を経て、秋は菊花賞トライアルの神戸新聞杯から始動した。これを2馬身半差で快勝すると、牡馬3冠最終戦の菊花賞へと出走。他の春の実績馬が出走していない状況下により、単勝1.4倍に推された一戦は、ロングスパートから押し切って2つ目のG1タイトルを獲得した。

 さらに古馬との初対戦となった有馬記念も圧巻の走りで制して、3歳シーズンを終えた。

 年が明けて4歳となったゴールドシップは、単勝1.1倍に推された阪神大賞典を2馬身差で勝利。続く天皇賞(春)でも1.3倍の断然人気に支持されていたが伸びを欠き、フェノーメノの5着に敗れた。

 そして迎えた宝塚記念。天皇賞(春)を制したフェノーメノ、前年の牝馬3冠馬ジェンティルドンナとの3強対決に注目が集まった一戦で、3馬身半差の快勝。4つ目のG1タイトルを手に入れた。

 夏を経て、秋は京都大賞典で単勝1.2倍の人気に応えられず5着。続くジャパンカップは15着、連覇を目指した有馬記念でも3着となり、4歳シーズンを終えた。

 5歳シーズンも阪神大賞典から始動すると、3馬身半差の快勝で連覇を達成。天皇賞(春)では7着に敗れるも、宝塚記念では好位から抜け出して3馬身差の快勝で連覇を達成した。

 秋は日本馬の悲願となる凱旋門賞に挑戦するため、札幌記念2着をステップにフランスに渡った。ハープスター、ジャスタウェイと共に世界に挑んだが、14着に終わった。帰国後は有馬記念に出走。前年と同じく3着となり、5歳シーズンを終えた。

 6歳を迎えたゴールドシップは、前2年と違い、AJCCから始動した。単勝1.3倍の断然人気に推されるも、7着に敗れた。

 続く阪神大賞典で同一重賞3連覇を達成して迎えた天皇賞(春)。後方からのロングスパートで後続を振り切り、6つ目のG1タイトルを獲得した。

 そして3連覇のかかった宝塚記念。ゲートの中で立ち上がると、大きく出遅れて15着に敗れた。

 夏を経て、秋はジャパンカップ10着、有馬記念8着と精彩を欠き、有馬記念を最後に現役を引退。

 有馬記念当日の全レース終了後に引退式が行われ、ターフに別れを告げた。

 引退後は種牡馬となり、初年度産駒のブラックホールが札幌2歳Sを制覇すると、2世代目のユーバーレーベンが優駿牝馬(オークス)を勝利して、G1馬の父となった。現在までの産駒は、主に牝馬の活躍が目立っているが、父同様にスタミナ豊富な産駒が多く、これからより一層の活躍が期待される。

(文●中西友馬)

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