④川田将雅(10度目の騎乗)
デビュー3年目にしてダービー初騎乗を果たし、以後も着実に力をつけ、押しも押されもせぬトップジョッキーへとなっていった川田将雅騎手。そんな彼が自身の転機を迎えた1頭に、トゥザワールドという馬がいた。未勝利戦から弥生賞まで4連勝を挙げ、皐月賞は2着、ダービーは2番人気で5着と惜しくもタイトルには手が届かなかったが、川田騎手は彼と臨んだダービーを「自分の中途半端さで負けたレース」、「思い返すと今でも申し訳ない気持ちになる」と振り返っている。
そのダービーから3年後、川田騎手は皐月賞でマカヒキとコンビを組み2着。続くダービーではこれまでより前目の位置取りとなる中団から進め、直線は臆することなくエアスピネルとサトノダイヤモンドの間を突く。3年前、「中途半端」でパートナーの実力を存分に出し切れなかった川田騎手に、もう迷いはない。決めた進路と作戦を貫くその姿勢に、マカヒキはしっかりと応えて上り33秒3の末脚を繰り出す。そのまま外から迫るサトノダイヤモンドをわずかハナ差だけ抑え、ダービーのゴール坂を一番に駆け抜けて行った。
ウイニングランを行う川田騎手は感情を抑え切れず、天を仰いで涙した。自身の信じた作戦で見事にパートナーを世代の頂点へと導くことができたのは、トゥザワールドで得た経験があったからこそと、川田騎手は後に語っている。
そしてこの勝利の後、周囲からの依頼はさらに増え、より大きな成長を果たしていくこととなる川田騎手。彼の騎手人生のターニングポイントのひとつに、マカヒキは必ず入ってくるであろう。