④2009年(勝ち馬マイネルキッツ)
スズカマンボ-ビッグゴールドによる馬連850倍決着から4年が経った、2009年。この年もまた、穴党歓喜の天皇賞(春)となった。
1番人気(単勝オッズ3.5倍)は、アサクサキングス。3歳時にはダービーでウオッカの2着、そして菊花賞を制覇。前年の天皇賞(春)で1番人気に応えられず3着となった以降は精彩を欠いていたが、5歳となってからは、京都記念と阪神大賞典を連勝で飾った。再び1番人気を背負っての天皇賞(春)出走となっていた。
続く2番人気(単勝オッズ6.3倍)は、スクリーンヒーロー。前年のジャパンC覇者であるが、初の3000m超となった前哨戦の阪神大賞典では4着。ただ、メンバー中唯一となる59キロを背負っての敗戦であり、巻き返しに期待がかかっていた。
そして3番人気(単勝オッズ7.4倍)がモンテクリスエス。前年の牡馬クラシックはダービーのみ出走して16着という結果に終わっていたが、1000万下(現2勝クラス)からの再スタートで躍進。ダイヤモンドSで重賞初制覇を飾ると、続く日経賞でも3着と好走を見せた。力をつけているのと長距離適性は明らかであった。この年も断然の本命馬はおらず、比較的割れ加減のオッズで発走を迎えた。
人気3頭の中で一番前のポジションを取ったのは、好位につけたスクリーンヒーロー。それを見るようにしてアサクサキングスが進め、モンテクリスエスは後方から。好位につけた人気2頭はジワジワとポジションを上げ、4角では先頭へと迫っていた。一方モンテクリスエスも大外を通って中団後ろまで浮上し、直線に向かう。
直線に入ると、早めに先頭へと立ったホクトスルタンの外からスクリーンヒーローとアサクサキングスが並びかけるが、アサクサキングスのほうが良い脚いろ。そのまま抜け出すかに思われたが、その外からアルナスライン、内を突いたマイネルキッツが相次いで交わしていく。
この2頭に絞られた争いは、最後にもうひと伸びを見せたマイネルキッツが勝利。クビ差の2着がアルナスラインとなり、追い込んできたドリームジャーニーが3着、直線先頭に立ったアサクサキングスは力尽きて9着に敗れた。
勝ったマイネルキッツは、単勝オッズ46.5倍、12番人気の伏兵。6歳にして待望の重賞初制覇が、G1の大舞台となった。
結果的にG1制覇はこの1勝のみであったが、翌年の天皇賞(春)でもジャガーメイルの2着に好走。この舞台にめっぽう強い馬であった。