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2005年天皇賞(春)を制した時のスズカマンボ
2005年天皇賞(春)を制した時のスズカマンボ

③2005年(勝ち馬スズカマンボ)

 イングランディーレによる圧巻の逃げ切り勝利の翌年となる、2005年の天皇賞(春)。この年は単勝1番人気が5倍台、9番人気までが単勝20倍以下という大混戦であった。

 僅差ながら1番人気(単勝オッズ5.4倍)は、前年と同じくリンカーン。昨年の13着以降も目立った成績は宝塚記念での3着くらいであったが、前年人気を集めた4歳勢不在の中、長距離適性を見込まれての1番人気であった。

 続く2番人気(単勝オッズ5.8倍)は、豪州から参戦の女傑マカイビーディーヴァ。天皇賞(春)と同じく芝3200mで行われる、豪州のメルボルンCを連覇中であった。さらに51キロで勝利した2003年と違い、2004年は牝馬ながら55.5キロを背負っての連覇達成。距離不足に加えて牝馬の59キロという酷量だった前哨戦のエイプリルSは7着に敗れたが、ここでの真価発揮に期待が集まっていた。

 そして3番人気(単勝オッズ6.0倍)は、一昨年の覇者で、G1・3勝馬のヒシミラクル。一昨年の宝塚記念以来、勝ち星からは遠ざかっていたが、実績はトップクラスといえた。

 このあたりが上位人気を固めていたが、どの馬にもチャンスがあると思われるようなオッズで、発走を迎えた。

 レース序盤こそ、人気3頭はいずれも後方から進めていたが、ポジションの入れ替わりが激しく、ヒシミラクルは早めに好位へと浮上。マカイビーディーヴァも3角手前あたりから進出を開始し、4角では中団前あたりまでポジションを上げた。一方リンカーンは後方集団から動きを見せないまま、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、逃げるシルクフェイマスの内をすくったビッグゴールドが先頭。それを追ったヒシミラクルは伸びを欠き、その内から伸びてきたのがスズカマンボ。残り100mを切ったあたりでビッグゴールドを交わして先頭に立つと、後続に1馬身半の差をつけて勝利した。先に抜け出したビッグゴールドは辛くも2着を確保し、追い詰めたアイポッパーがハナ差の3着となった。

 勝ったスズカマンボは、オッズが割れていたとはいえ、単勝オッズ13番人気の伏兵評価。そして、これが嬉しいG1初制覇となった。前年の牡馬クラシックでは、皐月賞17着、ダービー5着、菊花賞6着と奮わなかったが、古馬相手のG1初挑戦でいきなり結果を出してみせた。

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