④2021年(勝ち馬エフフォーリア、2着馬タイトルホルダー)
強風ハイペースとなった皐月賞から5年が経った、2021年の皐月賞。この年の1番人気(単勝オッズ3.3倍)は、前年暮れのホープフルSを3戦3勝で制したダノンザキッド。年明け初戦の皐月賞トライアル弥生賞こそ、単勝1.3倍という断然人気で3着に敗れたが、同舞台のG1を制していることが評価されての1番人気であった。
2番人気(単勝オッズ3.7倍)は、デビューから3戦3勝と無敗のエフフォーリア。出世レースの共同通信杯を勝利していたが、中山コースは未経験。そのためダノンザキッドに1番人気を譲ったが、僅差の2番人気となっていた。
レースは、前半1000m通過が60秒3と、稍重の馬場を考えてもゆったりめの流れ。ダノンザキッドは好位の外め、そのインコースからエフフォーリアが進めており、人気2頭はともに前めのポジション。先に動いたダノンザキッドが4角手前で外から先行集団に並びかける。エフフォーリアはインコースにいたぶん一瞬前が壁になりかけたが、それを切り抜けて直線では内から先頭に躍り出る。そのままエフフォーリアは後続を突き離し、3馬身差の快勝。
2着には早め先頭から粘り込んだタイトルホルダーが入り、クビ差の3着は後方から追い込んだステラヴェローチェ。ダノンザキッドは直線伸びを欠き、15着に敗れた。勝ったエフフォーリアはその後、ダービーではシャフリヤールにハナ差惜敗して、デビューからの連勝が4でストップ。
それでも天皇賞(秋)では、コントレイルやグランアレグリアなどの古馬一線級を撃破し、続く有馬記念も制覇。3歳馬ながら年度代表馬に選ばれ、誰もがエフフォーリア時代の到来を信じて疑わなかった。しかし、その有馬記念以降は勝利から遠ざかり、そのまま現役引退となった。
2着のタイトルホルダーは、弥生賞でダノンザキッドを破っていたにも関わらず、皐月賞では8番人気の伏兵評価。その後、菊花賞を制してG1初制覇を飾ると、翌年には天皇賞(春)と宝塚記念も勝利。まさにエフフォーリアとは対照的な現役生活を歩んだ。
エフフォーリアの3歳時の活躍も凄まじかったが、タイトルホルダーの4歳時は手がつけられないほどに強かった。そして、そのタイトルホルダーの活躍に待ったをかけたのも、ひと学年下の皐月賞2着馬であった。