③2016年(勝ち馬ディーマジェスティ、2着馬マカヒキ)
次に取り上げるのは、2016年の皐月賞。皐月賞は3強になるケースが多く、この年も戦前は3強ムードであった。
1番人気(単勝オッズ2.7倍)は、サトノダイヤモンド。セレクトセール2億4150万円(税込)という高額取引馬で、デビューから3戦3勝と未だ無敗。重賞初挑戦となったきさらぎ賞でも、単勝オッズ1.2倍という断然の支持に応えて勝利していた。続く2番人気(単勝オッズ2.8倍)は、リオンディーズ。2歳11月に芝2000mでデビュー勝ちを収めると、その1ヶ月後には朝日杯FSを制して2歳王者に輝いた。皐月賞TRの弥生賞では僅差で敗れて連勝ストップとなったが、2着だった兄エピファネイアの雪辱を期す一戦となっていた。
そして3番人気(単勝オッズ3.7倍)は、マカヒキ。こちらはサトノダイヤモンドと同じくデビューから3戦3勝。皐月賞TRの弥生賞では2歳王者リオンディーズを下し、ここに駒を進めていた。
レースは強風の中で行われ、向正面の強い向かい風を考えると、前半1000m通過58秒4は速い流れであった。人気3頭の位置どりは、リオンディーズが2番手につけ、人気馬の中では一番前。サトノダイヤモンドは中団にポジションを取り、マカヒキは後方で構える形となった。
3角手前で先頭へと変わったリオンディーズが直線でも押し切りを図るが、その外からエアスピネルとサトノダイヤモンドが襲いかかる。しかしそれらの争いをまとめて差し切ったのが、後方待機から大外を伸びたディーマジェスティ。連れて伸びたマカヒキが2着に入り、サトノダイヤモンドが3着。リオンディーズは4着入線も、5着降着に敗れた。
勝ったディーマジェスティは、出世レースの共同通信杯を勝っていながら、皐月賞では8番人気と伏兵評価。その後、セントライト記念を勝利したが、ダービー3着、菊花賞4着など、G1では2勝目を挙げることはできずに現役を引退した。
2着のマカヒキはその後、ダービーでディーマジェスティにリベンジを果たしての優勝。秋はフランス遠征を敢行し、凱旋門賞の前哨戦であるニエル賞を勝利した。そこから長らく勝利から遠ざかっていたが、8歳で迎えた京都大賞典で5年ぶりの勝利。先日1周忌を迎えた藤岡康太騎手の手綱さばきも印象的なレースであった。