HOME » コラム » 5選 » この名コンビに思わずもらい泣き…【皐月賞でGⅠ初勝利を飾った名ジョッキー5選】 » ページ 5
YokoyamaTakeshi_Efforia
第81回皐月賞を制した横山武史騎手

⑤エフフォーリア×横山武史

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2021年 第81回皐月賞
優勝馬:エフフォーリア(2番人気)
騎手:横山武史(22歳)
調教師:鹿戸雄一【美浦】
馬主:キャロットファーム
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「今乗った鹿戸厩舎の新馬、重賞でも勝負になります」
2020年、札幌でエフフォーリアの調教を終えた横山武史騎手が、報道陣に放った一言である。

 武史騎手はそれまで4年目にして関東リーディングを獲得するなど、輝かしい実績を残していた。重賞でもウインマリリンなどでフローラSを制し、若手ながらも大舞台で活躍。多くの競馬ファンを驚かせた。

 しかしG1の舞台では結果が出ておらず、初騎乗となったリオンリオンのダービーでは15着。その後もウインマリリンやモズアスコットで掲示板には載るものの、タイトルには手が届いていなかった。

 そこで、冒頭のコメントである。デビュー5年目の若手が調教で乗った新馬にこれほどのコメントをしたということや、重賞に出走する馬に調教で先着したことなどもあって、同馬の注目は一気に高まった。その期待に応え、エフフォーリアはデビューから3連勝で共同通信杯を制し、2番人気で皐月賞へ臨むこととなる。

 レースは1000m通過が60.3秒のスローペースで進み、エフフォーリアは内目でじっと脚を溜めていた。直線、内ラチ沿いにできたスペースを突きタイトルホルダーを捉えると、一気に差を広げてセーフティーリードを保つ。2着争いが激戦になるのを尻目に、悠々と先頭でゴールを駆け抜ける。デビュー前に語られた「重賞でも勝負になる」という言葉は、それ以上のものとなった。

 次走の日本ダービーこそ惜しい2着に敗れたが、秋には天皇賞、有馬記念を制し、エフフォーリアはこの年の年度代表馬に輝いた。その背中には、いつも若き相棒がいた。古馬になってからは思うような成績を残せなかったものの、3歳時に彼が見せたオーラは、真に強いものにしか出し得ない雰囲気を纏っていた。

 初年度産駒は2026年にデビューを迎える予定。彼とコンビを組んでいた時よりひと回り以上成長した横山武史騎手が、エフフォーリア産駒と共に再び皐月賞を制する日を、心待ちにしたい。

【了】

(文●小早川涼風

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