東・横綱 エンブロイダリー
西・横綱 アルマヴェローチェ

東の横綱として評価したのは、エンブロイダリー。2月に行われたクイーンCを2馬身半差で快勝し、トライアルを使わず桜花賞直行のローテとなっている。そのクイーンCの勝ち方が圧巻で、課題のスタートを決めて2番手につけると、3歳戦にしては流れたペースを楽々追走。抜群の手ごたえで抜け出し、後続を寄せつけない完勝であった。
クイーンCは例年好メンバーが集まる出世レースで、今年も阪神JFからの転戦組がいる中でのこの勝ちっぷり。5着に敗れたサフラン賞で露呈したゲート難も改善しており、好位抜け出しの形が板についてきた印象。全3勝が左回りであるが、敗れたサフラン賞は前述のように出遅れが響いたもので、癖のないコーナーリングから、右回りへの不安は少ないと考えている。
開業3年目とまだ経験の浅い森一誠厩舎だが、遠征のイメージが強い堀厩舎イズムを受け継いでおり、関西遠征のノウハウは十分。重賞での厩舎実績が示す通り、狙ったレースに向けての仕上げには定評があり、近い将来、美浦を代表する厩舎になると感じている。阪神JF組は強力だが、まとめて負かすだけの魅力を感じ、エンブロイダリーを東の横綱とした。
そして西の横綱として評価したのが、アルマヴェローチェ。阪神JFを制した2歳女王で、普通に考えれば桜花賞の中心となるべき馬。その阪神JFは、直線横に広がった争いを、大外からまとめて交わしての勝利。テン乗りとなった岩田望来騎手にG1初制覇をプレゼントした。
阪神JFの前は、ハービンジャー産駒らしく洋芝2戦で結果を出していたが、上がり34秒台の決着となった、京都の阪神JFでも勝利。過去の桜花賞の結果を見ても、結局阪神JFと勢力図は変わっていなかったというパターンが多々あり、阪神JF上位の馬は軽視できない。そう考えると、この馬が阪神JF組の中では中心になると考えるのは自然な流れだろう。
ただひとつ懸念点を挙げるとすれば、昨年の阪神JFは先ほども言った通り、京都開催だった点。例年なら、阪神JF組は少なくとも1回は桜花賞と同舞台を経験しており、それがアドバンテージとなっていた部分はあった。しかしこの馬の場合は、阪神JFからのぶっつけ。そのローテ自体は過去に結果を残している馬もいるので個人的に気にはならないが、阪神コース未経験での桜花賞参戦となる。
それはエンブロイダリーも同じなのだが、今年は阪神JF組にアドバンテージとならないぶん、エンブロイダリーより若干下の評価とした。それでも阪神JFの勝ちっぷりをみると、これより下げることはできない。
今回は10頭をピックアップして紹介したが、現時点で抜けた馬がいない印象を受ける、今年の牝馬クラシック戦線。ここで名前の上がっていない馬たちにも十分下剋上の可能性が考えられ、レースとしては面白いものになりそう。ただ、この番付に登場していない馬が桜花賞で上位を独占するようなことがあれば、それは下剋上ではなくて私の見る目がなかったということ。そうならないことを、ひたすら祈るのみである。
【了】
(文●中西友馬)