HOME » コラム » 5選 » あまりにも「早すぎた」皐月賞馬5選。クラシック一冠後に勝利を挙げることができなかった名馬たち » ページ 3
Victory
第67回皐月賞を制した時のヴィクトリー(写真左奥)

③ヴィクトリー

 大波乱となったノーリーズンの勝利から、5年が経った2007年の皐月賞。2002年には存在しなかった3連単がすでに発売されていたこの年は、3連単1623万円という超高額配当が飛び出した。そしてその波乱の一翼を担ったのが、ヴィクトリーであった。

 ヴィクトリーは、父ブライアンズタイム、母グレースアドマイヤという血統で、4つ上の半兄には重賞3勝、G1・2着3回のリンカーンがいる良血馬。新馬戦を5馬身差で圧勝すると、出世レースのラジオNIKKEI杯ではフサイチホウオーとクビ差の2着。年明け初戦の若葉Sを勝利し、優先出走権を得ての皐月賞出走であった。

 しかしこの年の皐月賞で人気を集めたのは、弥生賞馬アドマイヤオーラと、ラジオNIKKEI杯と共同通信杯を制したフサイチホウオー。この2頭が人気を分け合い、ヴィクトリーは単勝7番人気と伏兵扱いで発走を迎えた。レースは、サンツェッペリンがハナを取りきったかに思われたが、外枠からでも積極的にポジションを取りにいったヴィクトリーが、1角を回った後に先頭へと立つ。サンツェッペリンは2番手に控え、フサイチホウオーは中団後方寄りのインという位置どり。アドマイヤオーラはさらに後ろ、後方3番手あたりから進めていた。流れ自体は平均ペースながら、人気馬2頭が後方寄りだったこともあり、各馬の意識は後ろ。それに乗じて、ヴィクトリーとサンツェッペリンが後続との差を徐々に広げ始める。フサイチホウオーはインコースからスルスルとポジションを上げ、そのコースをなぞるようにアドマイヤオーラも浮上。両馬ともに中団辺りまで押し上げて4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入っても、前を行く2頭の脚いろは衰えず、逃げるヴィクトリーにサンツェッペリンが並びかけての一騎打ち。勢いではサンツェッペリンが上回っていたが、ヴィクトリーもしぶとく粘る。そこに迫ってきたのが、直線で外へと持ち出したフサイチホウオー。残り100mでは先頭と5馬身ほどあったように見えたが、そこから猛追を見せて3頭並ぶように入線。

 写真判定の結果、ヴィクトリー、サンツェッペリン、フサイチホウオーの順で確定。着差は1.2着、2.3着ともにハナ差と、史上稀に見る大接戦であった。そして3連単の配当は、単勝15番人気のサンツェッペリンが2着となったこともあり、1623万円の高額配当となった。

 ヴィクトリーはその後、神戸新聞杯と5歳時の京都記念での3着が最高成績で、皐月賞を最後に勝利を挙げられないまま、現役を引退。そして、皐月賞で大接戦を演じた2.3着馬も、その後勝利のないまま引退している。ちなみに、この年のダービーを制したのは、牝馬64年ぶりのダービー馬となったウオッカ。皐月賞を見て、今年の牡馬はレベルが高くないと見たウオッカ陣営の判断は、間違っていなかった。

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